2006 Fiscal Year Annual Research Report
高精度組織性状診断のための動脈壁粘性特性の非侵襲計測に関する研究
Project/Area Number |
17700421
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 英之 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00344698)
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Keywords | 動脈壁の微小厚み変化 / 周波数解析 / 粘性特性 / 内圧依存性 / 組織性状診断 / 動脈硬化症 |
Research Abstract |
本研究では,拍動もしくは外部加振に伴う内圧変化により発生する動脈壁の微小変形を計測・解析することにより動脈壁の粘弾性特性を推定するための基礎的検討を行った.以下に研究成果の概要を記す. 1.ヒト頸動脈壁の粘性特性のin vivo計測 心拍に伴う血圧変化および頸動脈壁の厚み変化(ひずみ)を計測し,それらを周波数解析することにより壁の粘性特性の推定を行った.頸動脈壁の厚み変化は,本申請者が既に開発している超音波計測法により計測した.また,血圧波形は,頸動脈直上の体表面に設置した圧力センサの出力波形を,上腕においてカフを用いて計測した最高・最低血圧で校正することにより得た.このようにして得られた頸動脈壁の厚み変化波形と血圧波形の,心臓収縮期末期の波形を周波数解析することにより,各周波数における壁弾性率を算出し,その周波数依存性を検討した.その結果,弾性率が周波数とともに上昇する傾向が見られた.この傾向と良く対応する粘弾性モデル(Voigtモデル)を用いて粘性率を推定したところ,1.5kPa・sであった."摘出された"動脈の機械的試験により計測された粘性率(文献値)は数kPa・sであり,本研究における"非侵襲"計測結果はそれと同様であった. 2.ヒト頸動脈壁弾性の非線形特性のin vivo計測 動脈を外部から経皮的に加振して内圧変化を発生させ,それにより生じる動脈壁の厚み変化を計測し,加振周波数における壁弾性率を算出した.動脈の内圧は心一拍内で大きく変化するため,各時相で弾性率を計測することによりその内圧依存性を評価できる.ヒト頸動脈において計測を行ったところ,血圧の高い時相では弾性率は高く,血圧の低い時相では弾性率が低い傾向が見られた.このような特性は,動脈壁の応力-ひずみ関係の非線形性によるものであり,このような特性の違いから壁の組織性状を診断することが期待できる.
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Research Products
(6 results)