Research Abstract |
一般的に粘弾性物体に周期的な応力が加わる場合,応力に対する粘弾性物体のひずみの追従性は,粘性と弾性の要素に依存する. そこで今年度の研究では,赤血球をフォークトモデルに置き換えて,応力負荷の周期に対するひずみ量の変化から,粘弾性特性を推定することを検討した.まず,一自由度系のフォークトモデルについて,一定の周期的な応力について,粘性要素を増加させた時のひずみ量変化について周波数解析を行った.その結果,モデルの粘性が高くなり,応力負荷周期を基本とした倍の周波数のスペクトラム強度が低下することが確認された. 次に,周期的なせん断応力を赤血球に負荷する装置を使用して,せん断応力負荷に対する反射光強度の変化を測定した.赤血球試料は,赤血球内の粘性を変化させるために,異なる浸透圧溶290,435,580[mOsm/H_2O]に浮遊させたせん断応力負荷は,1.2[Pa]となるように赤血球浮遊液をデキストラン浮遊液(46.5%[Wt])とした.また,流れ場の隙間は0.54[mm]とし,可動面の周期3[Hz]とした.実験では,以上の条件で測定された反射光強度について周波数解析を行った.その結果,せん断応力負荷の周波数3[Hz]を倍周波数について,290,435,580[mOsm/H_2O]の順番で強度変化が測定された.特に,290,580[mOsm/H_2O]と間には,p<0.05で有意差を観察することが出来た. 以上のモデルおよび測定実験の結果から,赤血球の周期的な形状変化を示す反射光強度を周波数解析することで,粘弾性の特性を測定できることが示唆された.
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