2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700441
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関根 正樹 千葉大学, 工学部, 助手 (50373494)
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Keywords | 転倒 / バランス / 加速度センサ / 角速度センサ / 姿勢角 |
Research Abstract |
本研究では加速度センサと角速度センサを用いた動作測定装置を開発するとともに、臨床において実用的で定量的な動的バランスの評価方法を提案することを目的とする。本年度は、リハビリテーションにおいて用いられるTimed Up and Go Test(TUGテスト)に着目し、その定量的な評価を試みた。TUGテストは、座位から立ち上がり、歩行、歩行しながらの方向転換、着座までの一連の基本動作能力を評価する簡便な手法として知られている。しかしながら、その評価は全遂行時間から転倒のリスクを推定にとどまり、動作フェーズごとに評価基準は設けられておらず質的な評価は療法士の経験と主観に頼る部分が多い。本研究では、まず、加速度センサと角速度センサを被験者の腰背部と大腿部に装着し、TUGテストの動作フェーズを特定する手法を提案した。さらに、療法士の観察による各動作フェーズの特定情報とセンサから得られた情報が一致するかについて検討した。健常若年者を対象としたTUGテストの測定で、立ち上がり時の上体の前傾、歩行開始時の下肢の前方への振り出し、方向転換時のヨー角方向への大きな角速度、着座終了後が角速度センサの出力に明確に確認された。この結果を用いて動作フェーズの特定方法を提案し、高齢片麻痺患者のTUGテストへの適用したところ、健常若年者に比べて各動作にともなうセンサ出力が小さくなるものの同様な傾向が示された。また、本手法で推定した各動作時間と療法士の主観によるものの間には高い相関が示された。以上の結果から、角速度センサの出力からTUGテストにおける動作フェーズの特定に対する有用性が示唆された。これにより、これまでの加速度センサを用いた動作解析に関する研究で得られた知見を有効に利用でき、今後の一連の動作の定量的な評価への応用が期待される。
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