2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷及び脳梗塞による神経因性膀胱の病態と治療に関する研究
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17700448
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉田 輝 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (40347109)
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Keywords | 脊髄損傷 / ラット / メントール / シストメトリー |
Research Abstract |
1.脊髄損傷ラットの作製 SD系雌ラットで、深麻酔下で第9胸椎レベルで脊髄損傷を作製した。術後は1日3-4回の用手圧迫排尿で尿路管理を行い、3〜6 週間後に以下の実験を行った。 2.摘出排尿筋収縮に対するメントールの作用の検討 深麻酔下に断頭後膀胱を摘出し排尿筋標本を作製。マグヌス法にて、40mM KCl、カルバコールによる収縮反応に対するメントールの影響を調べた。KClによる収縮反応に対し、メントールはL-type Ca channel blockerに類似した収縮抑制作用を示した。またカルバコールによる収縮反応に対しても抑制作用を示し、その収縮抑制作用は、細胞外Ca freeの状態でも観察された。以上のことからメントールは細胞内へのCa流入抑制と細胞内Ca放出の抑制により排尿筋の収縮を抑制するものと考えられた。 3.排尿反射に対するメントールの膀胱内注入の影響の検討 深麻酔下で膀胱〓を作製しカテーテルを背部から導出。覚醒後、シストメトリーを実施。メントールの膀胱内注入による諸パラメータの変化を調べた。その結果、1〜3mMの濃度で膀胱容量と残尿量は増加、排尿量は減少した。また排尿時膀胱内圧は1mMでは有意に上昇したが、3mMでは有意な変化は認められなかった。 1mMメントールの膀胱内注入で排尿時膀胱内圧が上昇することから、メントールが排尿筋外括約筋協調不全を誘発し排尿効率が低下、排尿量が減少、残尿が増加するものと考えられた。また膀胱容量と残尿量の増加、排尿量の減少にはメントールによる排尿筋収縮抑制作用も関与している可能性が考えられた。一方、3mMでは1mMと同様に膀胱容量と残尿量は増加、排尿量は減少するが、排尿時膀胱内圧の上昇は認められなかった。これは、3mMではメントールの排尿筋収縮抑制作用がより強くなるため、膀胱の収縮力がより低下し、排尿筋括約筋協調不全による排尿時膀胱内圧の上昇が抑制された可能性が考えられた。
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