2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700462
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
相馬 俊雄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (40339974)
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Keywords | 杖 / 筋電図 / 三次元動作解析 / 関節間力 / 上肢 |
Research Abstract |
【目的】関節間力とは関節にかかる生体内力、つまり関節の接触面にかかる力のことである。関節間力が過剰になると、関節面の損傷が示唆される。先行研究において、関節間力について報告されたものは下肢が大半であり、上肢についてはみられない。これまでに我々は、杖を使用した立位および歩行時における杖使用上肢の関節モーメント・筋電図から、杖の機能について力学的解析を行ってきた。本研究の目的は、杖荷重時における上肢関節間力の推定を行うことである。【方法】対象は、インフォームドコンセントの得られた健常成人男性1名(年齢21歳、身長178cm、体重75kg)とした。被験者の一側下肢を患脚と規定し、反対側上肢に杖を使用した。課題動作は、T字杖(T杖)、四肢杖(Q杖)、ロフストランド杖(L杖)の3種類の杖を使用して、杖に体重の30%の荷重(30%PWB)をかけた5.0secの片脚立位とした。動作中、杖への荷重量を一定にするため、患脚足部には下肢部分荷重訓練装置(アニマ社)を装着した。また、杖使用上肢の腕橈骨筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋前部・中部・後部線維、大胸筋、広背筋の合計6筋に対して表面電極を用いて筋電図を導出した。動作中の筋活動量は、杖に30%PWBされている区間3.0secを解析対象とした。各筋において最大随意等尺性収縮時の区間500msecの積分値をもとに、動作中の筋活動量を正規化した(%EMG)。上肢関節間力は、三次元動作解析装置(VICON512)と床反力計(AMTI)から算出した杖使用側の上肢関節モーメントの値と、筋電図からの主動作筋と拮抗筋の%EMGを加味して算出した筋張力の値から推定を行った。【結果および考察】今回の結果から、動作中における各筋の%EMGが大きな値を示すと、筋張力の値が大きくなり、関節間力の値も大きくなることがわかった。また、杖の種類により、肩および肘関節にかかる関節間力の大きさが異なることがわかった。以上より、臨床において関節に疼痛や変形を呈するリウマチ・変形性関節症の症例に対して、杖の種類選択を行うための一つの指標になったと考えられる。
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