2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700480
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Research Institution | Fukuyama Heisei University |
Principal Investigator |
木島 章文 福山平成大学, 福祉健康学部, 講師 (10389083)
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Keywords | 運動制御 / 知覚・運動協応 / 歩行動作 |
Research Abstract |
方向転換を伴う歩行動作では眼球-頭部の回旋協応を通して制御座標系の構築し,そこを基準に全身運動が計画されると考えられてきた.これまでの実験結果はこの仮説を部分的に支持するが,一方で,回旋の支持脚と同側に方向転換を行う交脚切り返し動作(crossover cut maneuver)と,対側に方向転換を行う開脚切り返し動作(open cut maneuver)とでは,動作に動員されるセグメント動作のパラメータとその協応には異なる点が見られた.交脚動作においては眼球-頭部の回旋協応が常に維持され,上胴の回旋・体幹の倒れ込みを先導するように切り返し方向へ回旋する傾向が顕著であった.視線回旋を早期化する拘束を加えても順序的な変化がなかったこと(眼球-頭部回旋は早期化),そして開脚動作では眼球-頭部の先導が確認されなかったことから,眼球-頭部の先導定位による制御座標系の構築から全身回旋に至る上意下達型の機構は特に交脚動作に当てはまると考えた. 一方,開脚動作におけるセグメント間協応を詳細に確認した結果,視線回旋を早期化させた場合,注視時点における視線定位は眼球運動のみによってなされ,さらに骨盤の向きを視線方向に一致させるセグメント間協応がみられた.頭部-肩(上胴)の回旋,および切り返し方向に対する足の踏み出しは,その後ほぼ同時に行われた.ただし通常の開脚動作でこういった眼球-下胴の協応は見られず,眼球-頭部と上胴が共に足の踏み出しと同期しながら切り返し方向へ回旋した.課題拘束に応じて協応のパターンを変更しうること,そして体幹の倒れ込みといった大きな質量の投射を必ずしも必要としない動作特性が確認できたことから,複雑な環境変化に適応しうる,より柔軟な機構が開脚動作で機能している可能性を指摘した. 以上の成果を昨年の国際バイオメカニクス学会(2005年7月31日〜8月5日,米国オハイオ州クリーブランド)にて発表,追加の分析結果を北米スポーツ心理学会(2006年6月1日〜同3日,米国コロラド州デンバー)にて発表予定,そして2つの発表内容を単一の原著論文で投稿する作業に取りかかっている.さらに昨年度中に自作した器材を用いて,交脚・開脚動作が適応しうる時間的・空間的な範囲を検討する実験を本年度中に終了する計画である.
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