Research Abstract |
本年度は,まず,「教育指導者講習」(略称IFEL)に関わる先行研究の収集と分析を行った。体育科に関するIFELの先行研究については,大津一義と大塚美栄子の論考があったが,歴史的な分析が十分になされていなかった。他教科や他分野については,高橋寛人によってIFELの基本資料やいくつかの分野の報告書が復刻出版されていた。また,柴静子が家庭科教育に関するIFEL報告書を復刻出版している。しかしながら,これらの復刻出版されたものは,貴重ではあるが,特定の年度のみであり限定的なものと言えよう。IFELを対象とした先行研究としては,代表的なものとして高橋寛人,平田宗史,柴静子(家庭科),中屋紀子(家庭科),田中治彦(青少年),松宮哲夫(数学科)といったものが見受けられた。これらの先行研究から,体育科に関するIFELの分析視点を焦点化し,資料の収集に目処を立てた。 次に,体育科に関するIFELの日本側の資料と報告書の収集を行った。まず,『保健体育の動向』(第4期IFEL京都会場中等指導主事C班 保健体育班)の原物を古書から手に入れた。次に,同4期の成果である『教員養成学部体育科研究集会研究要録』,そして第5期から第7期までの体育科に関するIFEL報告書である,『第五回教育指導者講習研究集録XXII(1)』,『第六回教育指導者講習研究集録XXII(2)』,『第7回教育指導者講習研究集録 保健科教育』,『第7回教育指導者講習研究集録 体育科教育』の4冊を国立国会図書館,東京大学,京都大学,広島大学,北海道教育大学等の図書館を通じて手に入れた。また,第7期のIFELの報告書は,『体育科教育法』(IFEL前川峯雄・浅川正一共編,新思潮社,1952)として,図書として一部が刊行されていることがわかった。これらの資料や報告書については,その内容を一部テキスト化して,使用し易いように整理している。
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