2005 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動制御能力向上に着目した高齢者のための運動プログラム開発に関する研究
Project/Area Number |
17700483
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八田 有洋 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (20312837)
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Keywords | 高齢者 / 反応時間 / 事象関連電位 / P300 / 運動継続 / 生活習慣 |
Research Abstract |
我々は横断的研究ではるが,適度な運動習慣の継続によって高齢者の加齢に伴う認知機能の低下進度が緩やかになる効果があることを報告した(Hatta et al, Japanese Journal of Physiology,2005).そこで,高齢者の脳内情報処理過程に対する運動の効果をより詳細に検討するため,運動習慣をもたない高齢者を対象に週1回90分の体操教室に参加してもらい,体操教室開始前と1年後における反応出力過程と脳内情報処理過程に違いがあるのかを反応時間と認知機能を反映すると考えられている事象関連電位P300を指標に用いて研究を行なった.被験者は男性10名,女性10名の計20名(平均年齢:67.30±1.1歳)であった.体操教室の主な運動内容はインストラクター指導の下,音楽に合わせて上肢と下肢をリズム良く動かしながら前後左右に移動する全身性の有酸素運動とセラバンドを用いた負担の少ない筋力トレーニングから成り,強度は最大心拍数の約60〜70%程度であった.反応時間とP300を記録するために体性感覚刺激オドボール課題を用いた.被験者は椅子に座った状態で右手人差し指への刺激に対して床に設置されたスイッチボタンを右足で素早く押し,左手人差し指への刺激に対しては無視して反応しないよう指示された.主な結果は以下のとおりである. <結果> 1)体操教室開始前の反応時間は364.50±65.6ミリ秒であり,1年後には339.00±47.0ミリ秒と短縮する結果が得られた. 2)体操教室開始前のP300潜時は396.00±33.1ミリ秒であり,1年後には372.00±18.0ミリ秒と短縮する結果が得られた. <まとめ> 適度な運動習慣を心がけることによって,高齢者の加齢に伴う反応出力過程の低下だけでなく認知機能の低下進度をも緩やかにする効果があることが示唆された.
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Research Products
(1 results)