2005 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境トレーニングを伴う持久性選手のパフォーマンスと生理反応の季節変動
Project/Area Number |
17700487
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
禰屋 光男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30359640)
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Keywords | 低酸素トレーニング / 最大酸素摂取量 / 総ヘモグロビン量 / 高地トレーニング / 持久性運動選手 / 貧血 / オーバートレーニング |
Research Abstract |
本研究の目的は持久性運動選手の生理反応や運動パフォーマンスの季節変動を調査し、高地・低酸素トレーニングの適切な実施時期や方法を掲示することである。また貧血、オーバートレーニングなど、コンディションの悪化について血液性状とトレーニング量などを検討し、その関係を検証することである。 対象者は大学陸上競技部所属の中長距離選手17名とした。年間を通じて最大酸素摂取量(VO_<2max>)測定、総ヘモグロビン量(THb)測定や血液検査を実施するが、対象者がこれらの測定に慣れる必要があるため、5月までは予備的データの獲得を実施した。年間を通じて週間走行距離を集計しトレーニング量とした。パフォーマンス評価は6(夏季)、10(秋季)、2月(冬季)に実施した。同時期にそれぞれ血液検査によりコンディションの変化を検討した。本年度は高地トレーニングを実施せず、次年度5月の評価を含めて平地における年間トレーニング中の季節的なパフォーマンス、血液性状の変化を検討した。 これまでの3回の測定の結果、VO_<2max>は夏季、秋季、冬季でそれぞれ3.63±0.32、3.64±0.39、3.71±0.40L/minであり、有意な変動は見られなかったが、トレーニング量が増加する夏季期間後の秋季ではレース速度に近い最大下速度において酸素摂取量の有意な低下(夏季と比較して約7.5%、p<0.05)が認められた。一方、被験者の中にはヘモグロビン濃度が12.5g/dlを下回る者もみられ、3回の測定においても常に基準値を下回ったが、THbやVO_<2max>は減少しておらず、貧血ではなく血液希釈による濃度低下と考えられた。これらの結果から持久性運動選手のパフォーマンスの変動は季節による生理的な変動や、練習量の変化に影響をうけ個人差も大きいことが明らかとなった。そのため高地トレーニング導入にはこれらの要因の考慮が重要であると考えられる。
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