2006 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境トレーニングを伴う持久性選手のパフォーマンスと生理反応の季節変動
Project/Area Number |
17700487
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
禰屋 光男 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (30359640)
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Keywords | 低酸素トレーニング / 最大酸素摂取量 / 総ヘモグロビン量 / 高地トレーニング / 持久性運動選手 / 貧血 |
Research Abstract |
本研究の目的は持久性運動選手の生理反応や運動パフォーマンスの季節変動を調査し、商地・低酸素トレーニングの適切な実施時期や方法を掲示することである。昨年度は高地トレーニングを実施しなかった1年間を通じた最大酸素摂取量や血液性状の変化を観察し、高地トレーニングを実施した際のコントロールデータを取得した。本年度は夏季に3週間の高地トレーニングを実施し、その前後の運動パフォーマンスおよび期間中の血液性状の変化等を観察した。 対象者は大学陸上競技部所属の中長距離選手7名であった。3週間の高地トレーニングを実施し、その前後で最大酸素摂取量、総ヘモグロビン量を測定し、前後および期間中には血液検査、睡眠時の動脈血酸素飽和度を測定した。期間中のトレーニング量は対象者間で大きな開きが生じないよう、走行距離を管理した。 この期間中、対象者は標高1300m〜1800mの高地トレーニングエリアに設置されたランニングコースおよび1300m地点に設置された400mトラックを利用してトレーニングを実施した。睡眠中は人工低酸素発生装置を宿泊室内に設催し、標高3000mに相当する人工環境に滞在させた。1日あたりの滞在時間は9時間とした。 期間の前後で最大酸素摂取{itは63.3±6.1m1/kg/minから69.4±5.6ml/kg/minに有意に増加し(p<0.05)、体重あたりの総ヘモグロビン量も14.5g±1.5g/kgから15.1±1.3g/kgに有意に増加した(p<0.05)。これらの結果から、従来報告されているよりも短い期間、あるいは短い1日あたりの低酸素環境曝露であっても準高地でのトレーニングを併用して増血や有酸素性のパフォーマンスを向上させることができるといえる。 トレーニング量が増加する夏季から秋季にかけてこのような高地トレーニングを実施することでより高いパフォーマンスを期待することができると考えられる。
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