2005 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおけるホッケーの普及過程に関する研究 1895-1914年
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17700492
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
秋元 忍 神戸大学, 発達科学部, 講師 (50346847)
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Keywords | スポーツ史 / イギリス / ホッケー / 近代スポーツ |
Research Abstract |
平成17年度は、1895年から1908年までの、イギリスにおけるホッケーの普及過程を解明することを目的とした。このため、普及の背景、ゲーム活動の展開、ホッケーアソシエーションのゲーム普及戦略の3点から、この過程を検討することを課題とした。イギリス研修旅行を実施し、多くの新史料を入手した。これらの史料の分析から得られた以下の研究成果を学会発表した。計画通り、今年度中に学術雑誌に投稿する予定である。 ホッケーアソシエーションのゲーム普及戦略形成の背景を検討するため、その意思決定に関与したと考えられる役員の1人であったスタンレー・クリストファーソンがいかなるゲーム観を有していたのかを明らかにした。彼はアッピンガム校の出身で、証券取引所に勤務後、ミッドランド銀行頭取やノーフォーク州長官を務めたエリートであった。傑出したプレーヤーであると同時に、ホッケーアソシエーションの名誉幹事兼会計を務め、19世紀末の同組織の意思決定に深く関与した。19世紀末までには、ホッケーアソシエーションのゲーム普及戦略はほぼ確立していたと評価することができるが、その大きな特徴は、会員資格を「真のアマチュア」に限定し続けた点にあった。エリート層の男性にとってのプロ化の弊害は、慎重に排除された。この規約の影響の下に、ゲームは地域限定的に、緩やかに普及していった。こうした背景の中で、彼は、ホッケーアソシエーションによって統括されるのは、1)アマチュアのための、2)男性によるゲームであるべきである、と主張していた。彼はアソシエーションの総会、委員会における提議に度々関与しており、普及戦略に関する合意形成にも影響を及ぼしていたと推定される。こうしたクリストファーソンのゲーム観は、当時のホッケーアソシエーションのゲームをプレイするエリート層男性たちの、ゲーム観の一側面を代弁するものであったと仮説付けられた。
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Research Products
(1 results)