2005 Fiscal Year Annual Research Report
米国のムーブメント教育論の形成過程に関する研究-内容規定の要因を中心として-
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17700501
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
松本 奈緒 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (30364699)
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Keywords | ムーブメント教育 / 体育の存在根拠 / 歴史的アプローチ / 教科論 / カリキュラム論 |
Research Abstract |
【研究の意義と背景、目的】 学校教育における体育の危機的状況が世界各国で報告されているが、ムーブメント教育は英語圏の体育カリキュラムの中で確固たる地位を占めている。時代が変わり教育における背景やニーズが変化しても、ムーブメント教育論が根強く体育カリキュラムに位置付いてきた。その根本的な理由を探るには歴史的、教育的背景を含めてムーブメント教育の発展を追うべきであろう。ムーブメント教育論は内容を明確に示したことがその特性であるが、本研究ではそのムーブメント教育論の内容を規定した要因を歴史的・教育的背景、論議と共に明らかにする。 【結果及び考察】 本年度は内容を規定したか否かにかかわらず、ムーブメント教育論の発展を支えた要因を明らかにすることを中心に研究を行った。米国のムーブメント教育は英国のムーブメント教育が1956年のアングロ・アメリカンワークショップを通じて伝わったことがその出発の契機となっている。また、ムーブメント教育のプログラムが伝わるのと同時にムーブメント教育の理論の骨子となるLabanのムーブメント概念も米国に伝わることとなったが、この概念はその後、ムーブメント教育の内容を構成する重要な因子となった。 以上のように米国に導入されたムーブメント教育であるが、体育という教科を支える重要なカリキュラムとして成立するには大きな要因が必要である。1950年代後半〜1960年代には学校教育に体育という教科が存在する論拠について盛んに論議された時代であったが、ムーブメント教育論はこれに関して十分説明しうる論理を内包したカリキュラムであったことが発展を支えた大きな要因であった。
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