2005 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツが発育期児童の心理におよぼす影響に関する研究
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17700506
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
谷田部 かなか 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (00387028)
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / ストレス / 認知科学 / 解析・評価 / 社会系心理学 / 発育期 / スポーツ / 情緒 |
Research Abstract |
まず発育期選手を対象とし、POMS-A日本語版の信頼性と妥当性を検討した。 感情尺度の信頼性α係数は0.370〜0.571、標本因子分析妥当性はKMO=0.516。因子的妥当性は、主成分分析後エカマックス回転を行い8因子を抽出、累積寄与率は55%であり、数値的には保証するには至らなかった。しかし、弁別妥当性は、試合前後群、勝敗別群ともに、活気以外の尺度得点に関して、群の相違が有意であった。 「活気」に関して最も高い尺度だった。「緊張」「混乱」もこの順に次いだ。「抑うつ」「怒り」「疲労」の各尺度は分離されなかった。言語・感情表現の違いが関与しているので、現在累積寄与率が低かった質問項目の再翻訳・検討、および訳語改良を行い、調査計画を立て直している。 更に、発育期スポーツ選手におけるPOMS検査(感情)と血液検査(体調)の関係、性格特性との関係、外傷・障害との関係について並行して調査している。この結果は、追々POMS-A日本語版で同様な調査を施行し、比較検討する予定である。 特に、血液検査とPOMSの相関は、Crと「怒り」、血清浸透圧と「緊張・疲労」、等において関連が見られた。判別分析では、「怒り」とCrでは83.3%と高く判別可能であった。またCrの数値が高い群では、POMS怒り尺度と強い正の相関があった。血清浸透圧値と緊張、疲労尺度においても相関がみられ、脱水との関係によるものと思われた。外傷・障害群で緊張・抑うつ尺度が有意に高く、活気尺度以外の点数が高い傾向にあった。 機能低下が認められる選手は、POMS活気以外のネガティブ因子の得点が高まり、ディストレスに近い状態を引き起こしていると考えられた。合宿合流時の身体的・心理的ストレスを考慮し、指導していくためにも、POMS検査を行うことは有用ではないかと考えられた。
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