2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700510
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田渕 正樹 近畿大学, 医学部, 助手 (20340771)
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Keywords | 高血圧 / 脳卒中 / 長寿命化 / 薬理学 / 一酸化窒素 / 運動療法 / モノアミン / 酸化ストレス |
Research Abstract |
長期自発運動が遺伝的な脳卒中の発症を抑制するかを調べるために,モデル動物として脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用いて,6週齢より回転ケージに収容し,運動群とし,非運動群のラットとの比較により以下の知見を得た. 1.実験開始から5週間後以降に,運動群の収縮期血圧が非運動群よりも有意に低値を示した. 2.50%脳卒中発症日は,非運動群で87日であったのに対し,運動群では93日であった.また,50%死亡日は,非運動群で170日であったのに対し,運動群では183日であった. 3.実験開始8週間後に屠殺し,胸部大動脈の一酸化窒素(NO)合成酵素及びNADPH oxidaseサブユニットmRNAの発現を調べたところ,運動群では,eNOS mRNAの発現増加と,Nox1,Nox4 mRNAの発現抑制が認められた. 4.両群の血漿NO代謝産物濃度の変動を調べたところ,差は認められなかった. 5.実験開始8週間後の血漿モノアミン濃度を測定したところ,エピネフリン,3,4-ジヒドロキシフェニルエチレングリコール(DOPEG)及び5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)濃度が運動群で有意に低値を示した. 6.両群の尿中モノアミン濃度の変動を調べたところ,エピネフリン,ノルエピネフリン,ノルメタネフリン(NMN),バニリルマンデル酸(VMA),3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルエチレングリコール(MHPG)が運動群で有意に上昇した. 以上の結果より,長期自発運動は,酸化ストレスを抑制(NOの生体利用率の増加)するとともに血漿モノアミン濃度を低下させることにより,SHRSPの血圧上昇を抑制し,脳卒中の発症を遅延させることが示唆された.
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