2005 Fiscal Year Annual Research Report
サッカー選手における高強度運動後の血中エネルギー基質の利用に関する検討
Project/Area Number |
17700512
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
大森 一伸 東亜大学, 総合人間・文化学部, 助教授 (20277792)
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Keywords | サッカー選手 / 間欠運動 / 回復期 / 酸素摂取量 / 血中乳酸濃度 |
Research Abstract |
【目的】本研究では、激運動後の動的回復中の血中乳酸濃度の動態と酸素摂取量を、大学サッカー選手5名と長距離経験者5名を対象にして比較検討した。 【方法】実験運動は自転車エルゴメーターを用いた。16分間の低強度運動を、Wingateテスト3セットを挟んで、2回繰り返した。Wingateテスト後の低強度運動を動的回復、Wingateテスト前の運動を動的回復運動に対するコントロール運動とした。動的回復運動とコントロール運動の強度は80%VT強度とした。実験運動中に指先より末梢血を採取し、血中乳酸濃度を測定した。動的回復中には血中乳酸濃度のAUC(Area Under Curve)を算出した。また、動的回復運動とコントロール運動中には酸素摂取量を計測した。さらに、両運動中の酸素摂取量の差をΔVO_2とした。 【結果】コントロール運動中の血中乳酸濃度は両群とも増加せず一定であった。Wingateテスト後に血中乳酸濃度は急激に増加し、その値は両群で同等であった。動的回復中は、血中乳酸濃度は両群ともに徐々に低下したが、サッカー選手では長距離経験者より有意に高い値で推移した(p<0.05)。長距離経験者では、動的回復運動とコントロール運動の酸素摂取量は同等のであった。一方、サッカー選手では動的回復中の酸素摂取量が、コントロール運動中より有意に高い値であった(p<0.05)。両群のデータを合わせて分析すると、動的回復中の血中乳酸濃度のAUCとΔVO_2との間に有意な正の相関関係が得られた。 【考察】以上の結果から、サッカー選手では激運動後の動的回復中の血中乳酸濃度が高く、酸素摂取量も増加することが認められた。これは、蓄積した血中乳酸濃度を酸化系エネルギー供給において除去(利用)する働きが、サッカー選手の動的回復中においてより亢進していたために、酸素摂取が高い値を示したものと推測された。
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