Research Abstract |
本研究では,以下の2つの目的を設定した。 目的1:減量後のリバウンドが冠危険因子に及ぼす影響を明らかにすること。 目的2:減量後のリバウンドを規定する肥満遺伝子を探索すること。 以上,2つの研究目的を達成するために,平成18年度は過去の減量介入研究参加者から,2年間の自己管理期間を経た26名の男性を対象に追跡調査を実施した。測定項目は形態(身長、体重,BMI,腹囲,臀囲),身体組成(DXAによる体脂肪率,体脂肪量,除脂肪量),腹部脂肪分布(CTによる内臓脂肪面積,皮下脂肪面積,総脂肪面積),安静時諸量(収縮期血圧,拡張期血圧,心拍数),20ccの血液から分析する総コレステロール,HDLコレステロール,LDLコレステロール,中性脂肪,尿酸,血糖,インスリン,HbA1cなどである。また,同血液標本からDNAを抽出し,肥満関連遺伝子の多型を解析した。 追跡調査の結果,26名の平均体重は減量前の78.6±7.1kgから減量後には70.1±7.4kgに減少し,2年後の追跡調査では72.3±7.4kgと2kgほどリバウンドしていた。体重リバウンド量は内臓脂肪,中性脂肪の変化量と正の相関関係にあり,HDLコレステロールとは負の相関関係にあったことから,リバウンドを最低限に抑えることが健康維持のために重要であることが示された。一方,メタボリックシンドローム罹患率は減量前の42%から,減量後で12%,追跡調査時では0%と下がったことから,2kg程度のリバウンドは健康状態を維持する上で許容でき,3ヵ月間の減量介入の有効性が長期的視点からも示された。 肥満関連遺伝子については,現在解析を進めているところであり,来年度も引き続きデータ数を増やすことで,より確かな知見を提供できるものと考えている。
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