2005 Fiscal Year Annual Research Report
両親の夫婦間不和と青年のアイデンティティ発達に関する実証的研究
Project/Area Number |
17700543
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
宇都宮 博 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (10320152)
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Keywords | 青年 / アイデンティティ / 両親間不和 / 家族システム |
Research Abstract |
本研究の目的は,「青年期のアイデンティティ形成と両親の夫婦間不和の関連性」と,「青年期のアイデンティティ形成と原家族からの巣立ちのトランザクション・プロセス」を明らかにすることである。一年目にあたる平成17年度は,はじめに理論的検討を行い,家族関係との関連を中心とする青年期のアイデンティティ形成に関する研究,両親間不和と青年の心理的適応に関する研究,中年期の夫婦関係に関する研究などの動向を概観し,研究成果と問題点について整理した。その上で,青年期を対象とする両親間葛藤の認知に関する尺度を構成し,調査を実施した。 本研究では,まず両親のいる大学生を対象に質問紙調査を行い,両親間葛藤に関する認知構造を明らかにするとともに,両親間葛藤がそれへの巻き込まれを介して,青年期の子どものアイデンティティ形成に与える影響について,性別と居住形態による差異を中心に検討した(分析1)。分析では,アイデンティティ形成において重要な意味をもつとされる信頼感との関連についても着目した。 次に,両親からのデータを分析に取り入れ,彼らの結婚生活の質(コミットメント)が,青年のアイデンティティ形成に与える影響について検討した(分析2)。両親の結婚生活の質による影響力については,両親自身の抑うつ傾向とソーシャル・ネットワーク(肯定的交流・否定的交流)による違いにも着目した。対象者は,分析1で対象となった青年の一部とその両親である。これら2つの分析を通して,両親の結婚生活への不適応が,青年のアイデンティティ形成に及ぼす直接的,間接的な影響過程について考察した。
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