Research Abstract |
家庭用洗剤に起因する水環境の汚染を軽減するような生活を,児童・生徒が意識的に営むようになることが最終目標で,その方法を自ら考え,実践する能力を育成するための教材の開発を試みた. 1.陰イオン界面活性剤の除去方法の検討 まず,家庭用洗剤に最も多く用いられている陰イオン界面活性剤の定量方法として,自作の導電率計を用い,市販装置との相関性からその使用の妥当性を検討した.その結果,市販装置に匹敵する精度が得られ,簡便で安価な方法として活用可能であることがわかった。また,これら活性剤の除去剤として,身近にある繊維製品や陽イオン性の各種除去剤を用いて,その除去効果を検討した.身近なものの再利用による除去を今後も検討していく. 2.非イオン界面活性剤の除去方法の検討 非イオン界面活性剤は近年洗剤への配合量が増加する傾向にあり,注目していく必要がある.しかし,簡易測定法がないことから,まず,簡易定量法を開発した.非イオン界面活性剤の曇点現象を利用した方法を検討し,定量装置として加熱式簡易濁度計を作製し,POE系非イオン界面活性剤数種を用いてその妥当性を検討した.分光光度法やバイオアッセイ法等を用いて測定値の妥当性を検討した結果,極めて,良好な結果を得ることができた.現在のところ,定量限界(最低濃度)は20ppmである.また,これら活性剤の除去剤として身近にある繊維製品や環境中の粘土鉱物等を用いた方法を開発し,いずれも高い除去効果が得られており,定量法とともに,簡便で安価,原理が明解なシステムとして検討を継続している.本年度の成果として以上に示したように,当初の研究実施計画通りに遂行できたことを報告する. 次年度においては,これら基礎研究に基づいて,各種界面活性剤の混合系での検討,および学校現場で活用可能な形での教材の作成を試みて,本研究を完成させる.
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