2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期における生活格差とライフスタイルの再編-社会階層要因との関連-
Project/Area Number |
17700546
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木村 好美 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 講師 (90336058)
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Keywords | 高齢期 / 生活格差 / ライフスタイル / 社会階層 |
Research Abstract |
高齢期における格差のなかでも「健康」、すなわち「日本の高齢者の健康状態」に社会階層による差は認められるのかということについて研究を進め、2005年11月に開催されたJapanese-German Frontiers of Science Symposiumにおいて、"The Effects of Social Stratification Factor upon the Elderly's Health in Japan"というタイトルで報告を行った。 分析に用いたのは東京都老人総合研究所・ミシガン大学共同プロジェクト「後期高齢者の資産と健康に関する全国調査(AHEAD調査)」データである。なお、過去の「職業」が健康に及ぼす影響を正確に捉えるためおよびデータの制約より、73歳以上の・退職経験のある男性にサンプルを限定し分析を行った。分析に用いた指標の概要は以下のとおりである。 (1)健康状態の指標…慢性疾患、ADL、うつ (2)社会階層の指標…過去の最長職、収入、教育 (3)健康状態に影響を及ぼすと考えられる健康行動…飲酒、喫煙、運動 (4)健康状態や社会階層要因との関連が深いと思われる心理的要因の指標…自身の経済状態に対する安心感 上記の変数にコントロール変数として「年齢」を追加し、ロジスティツク回帰分析を行った結果、 (1)健康については、「自身の経済状態に対する安心感」がある人の方が抑うつ傾向、ADL障害が見られなかった。慢性疾患と収入については、年齢と慢性疾患との有意な関係が見られ、年齢が高くなるほど慢性疾患への罹患が起こる。 (2)健康に関する行動においては、「運動」において専門職、大企業W、中小企業W、大企業Bは農業よりも、「自身の経済状態に対する安心感」がある人の方が無い人よりも運動をしており、「喫煙」については「自身の経済状態に対する安心感」がある人の方が喫煙していない。 ということが明らかになった。
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