2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期における生活格差とライフスタイルの再編-社会階層要因との関連-
Project/Area Number |
17700546
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木村 好美 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 講師 (90336058)
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Keywords | 高齢期 / 生活格差 / ライフスタイル / 社会階層 |
Research Abstract |
高齢期における余暇活動の実施の有無と社会階層要因との関連を明らかにした。すなわち,旅行や外食,趣味・稽古ごとという余暇活動の実施の有無と経済状態との関連を検討し,経済状態に拘り無く余暇活動は実施できるのか否か明らかにし,この成果を2006年に開催された第48回日本老年社会科学会大会において「高齢期における余暇活動実施状況と経済状態の関係-経済状態の変化に注目して-」というタイトルにて報告を行った。現在,この成果を論文にまとめている最中である。 分析に用いたのは東京都老人総合研究所・ミシガン大学共同プロジェクト「後期高齢者の資産と健康に関する全国調査(AHEAD調査)」データである。 ロジスティック回帰分析の結果より,経済状態との関連が見られたのは旅行の実施と趣味・稽古ごとの実施の有無で,現在の収入が高い人ほど過去1年間の間に旅行や趣味・稽古ごとを行っている。3年前と現在との収入の変化は旅行の有無についてのみで有意な効果を持っており,現在の収入が高く,現在の収入が過去(3年前)の収入より低い人ほど旅行に行っている。このような結果が出た一因として,余暇活動の有無に関する質問項目は「誰に支出してもらったか」に拘わらず単に「実施したかどうか」だけを問題にしていることが挙げられる。つまり,旅行の有無には子どもにお金を出してもらって旅行をするケースが含まれているのである。 また,余暇活動すべてにおいて有意な効果を持ったのは経済状況ではなく健康状態と学歴,人生に対する前向きな姿勢であった。ADL障害の程度が低く,教育年数が長く,人生に対して前向きな姿勢を持っている人ほどすべての余暇活動を実施する傾向が認められた。さらに,旅行は年齢が若いほど,外食は女性の方が実施した人が多いことが分かった。
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