2006 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア無文字社会における伝統的製布技術の構造と伝承システムの解明
Project/Area Number |
17700547
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
下田 敦子 大妻女子大学, 人間生活科学研究所, 研究員 (60322434)
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Keywords | 東南アジア / 無文字社会 / 製布技術 / 伝承システム |
Research Abstract |
18年度交付申請書に記載した研究計画(1)(2)(3)に基づき、平成18年6月から翌年3月にかけて、タイ王国チェンマイ県において調査を実施した。内容は以下のとおりである。 (1)製布技術を教える側であるスゴー・カレン女性29人を対象として、製布技術の習得状況について調査を実施した。調査項目は平成17年度に整理した製布技術(148項目)を用い、それぞれの技術項目について、習得しているか否かについて聞き取り調査をした。現在は、得られたデータを数量化し、コンピューターに入力しているところである。 (2)また製布技術を習得する側であるスゴー・カレン若年女子(11〜20才代)106人を対象に、製布技術に関わる43技術要素について、当該の技術項目を習得しているか否かについて調査を実施した。 得られたデータを数量化し、項目反応理論(2母数モデル)を用いて計量的に分析し、絶対的な難易度を示す「困難度」と、質問項目としてどの程度適当であるかを示す「識別力」を算出した。 得られた成果:概略的にいって、10代女子の場合、両手で糸を巻いて織り糸を準備しておく技術→織り上がった布を衣服にするために縫製する技術→織り上がった布の糸端を組んで紐状に仕上げる技術→初歩的な織り技術→模様織り技術という順番で習得が困難である、ということが明らかになった。このことは、製布技術を習得する側である若年女子が製布技術要素を習得していく合理的、系統学習的な習得過程を明らかにするための手がかりとなり得よう。 なお、上記の成果報告は、平成18年度日本発育発達学会第5回大会(東京)において最優秀研究発表賞を受賞した。発表課題は"無文字社会(Sgaw Karen Community)における衣類製作技術の学習順次性の探索-項目反応理論(2母数モデル)による推定-"であった。
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Research Products
(2 results)