2006 Fiscal Year Annual Research Report
在宅高齢者の家庭内事故および発症の予防に関する住環境学的研究
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17700549
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Research Institution | Baika Women's University |
Principal Investigator |
延原 理恵 梅花女子大学, 現代人間学部, 助教授 (40310718)
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Keywords | 家庭内事故 / 在宅高齢者 / 住環境 / 生活科学 / 死因 / 突然死 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高齢者の在宅環境での事故や発症予防を目指して、家庭内事故や在宅における急病の発生しやすい住環境条件を明らかにすることである。以下に平成18年度の研究成果を列記する。 1.O市の救急隊出動記録データベースを用いて、小、中学校区単位における日常災害の状況を把握し、その結果と当該地域の地域特性との対応を国勢調査や土地利用現況調査等の統計資料から分析し、居住空間特性すなわち建物属性(建物構造、建築年代、用途別の分布や建蔽率)が日常災害にもたらす危険因子を見出そうとした。木造住宅件数比率の高い地区は、後期高齢者率が高く、昼間住宅内事故件数が多い傾向にあるなど、マクロに地域住環境の潜在的危険因子を校区単位で把握した。 2.S県の在宅高齢者の異常死体に関する調書を用いた家庭内事故および在宅での病死に関するデータベース化を依頼し、その統計処理および分析を発生時季に着目して実施した。年々増加傾向にある在宅高齢者の急病による突然死事例については、1994年から2006年までの間に4958件あった。これらについて季節変動、日内変動、死亡場所等の居住環境について検討した。突然死を引き起こす疾病には、心筋梗塞、心筋症、大動脈破裂などの心臓・血管系の疾患と脳内出血、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管系がある。心臓性突然死は冬に多く、夏に少ないという季節変動がみられ、とくに浴室を発生場所とするものについてはこの傾向が顕著であった。一方、居室を発生場所とするものについては、早朝の時間帯が多くみられた。また、室内環境も少なからず発症及び死亡の変動に影響することが推察できたので、今後、高齢者の身体負荷が大きくなる季節や時間帯について、とくに温熱環境の面からその関わりを追究していく予定である。
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Research Products
(2 results)