2005 Fiscal Year Annual Research Report
甲州ワインの食嗜好性改善と地域食文化へのフィードバック
Project/Area Number |
17700560
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
三木 健夫 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (10313793)
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Keywords | 発酵 / 応用微生物 / 遺伝子 |
Research Abstract |
日本独自の甲州ワインは、多種白ワインに比べて酸味に乏しいとされている。しかし、本ワイン中に含まれる酸味成分は、他の白ワインとの間で量的差が見られない。これは、甲州ワインの低酸味は単なる酸味成分の量的な不足ではなく、他の要因によって引き起こされている事を意味する。甲州ワインは、他の白ワインに比べ最大で10倍量程度のプロリンを含む。さらに、プロリンは味覚的に苦味や甘みを呈するため、酸味への影響が懸念される。本研究では、微生物工学的手法を用いて様々な酵母を構築し、甲州ワインに含まれるプロリンの酸味に対する影響について調査することを目的とし、平成17年度は以下の2項目について準備、実験を行なった。 1、プロリン消費酵母株の構築 ワイン酵母Saccharomyces cerevisiae OC-2株をホスト細胞とし、微生物工学的手法を用いてプロリン酸化酵素を過剰に生産する株を構築するため、本株のPUT1 (Proline oxidase)およびPUT2 (Δ1-proline-5-carboxylate dehydrogenase)のクローニングを行なった。両遺伝子ともPCRにより増幅可能であり、5'上流域を含むDNA断片を取得できた。これらの部分塩基配列を決定した結果、既知遺伝子配列と99%以上の相同性を示した。 2、甲州ワイン試験醸造およびアミノ酸濃度変化の測定 甲州ブドウ果汁に対して酵母Saccharomyces cerevisiae W-3、OC-2およびKN-35株を接種後、アルコール発酵中の果汁アミノ酸濃度の変化について測定した。結果、甲州果汁中のプロリン含量は、他アミノ酸が72時間でほとんど消費されるのに比べ、ほとんどが残存していることや、異なる酵母株を用いた場合でも、同様の傾向が観察されるなどの基礎的知見が得られた。本実験結果は平成18年度日本農芸化学会大会(京都)で発表する予定である。
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