2005 Fiscal Year Annual Research Report
新たな作用メカニズムに基づく食品成分中のホルモン依存性癌予防因子に関する研究
Project/Area Number |
17700563
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
竹村 ひとみ 静岡県立大学, 看護学部, 助手 (60295558)
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Keywords | 食品成分 / ホルモン依存性癌 / 予防 / エストロゲン代謝 / カテコールエストロゲン / CYP |
Research Abstract |
内因性の女性ホルモンであるエストロゲンは乳癌の原因の一つであると言われている。エストロン(E1)およびエストラジオール(E2)は、CYP1B1によりカテコールエストロゲン(CEs)の一つである4-CEsに変換され、そのキノン体がDNAアダクトを形成し、動物実験において発癌性を示すことが明らかにされている。またヒト乳癌組織中では,正常乳腺組織に比べ4-CEsおよびCEキノン-GSH抱合体の含量が3倍程度高いことが報告されている。 本研究では、従来報告されているER競合阻害作用とは異なるエストロゲンの解毒代謝という角度から、乳癌の発生・進展を抑制することができるのではないかと考え、CYP1B1を特異的に阻害する因子を食品成分中より検索し、他のエストロゲン解毒代謝機構への影響について確認したところ、以下の結果を得た。 (1)数種類のフラボイドを用いてCYP1A1/1B1に対する酵素阻害作用を検討した結果、3種の化合物にCYP1B1に特異的な阻害活性が認められた。その中でも化合物Xは、最も低濃度で阻害を示した。 (2)CYP1A1/1B1マイクロゾーム溶液とE2の混合液に化合物Xを添加し、2-OHE2および4-OHE2の生成をGC/MS分析により検討したところ、2-OHE2の生成量に変化はなかったが、4-OHE2は化合物X添加時に大幅に減少した。また化合物Xは、CEsの代謝酵素の一つで水酸基をメチル化するcatechol-O-methyltransferase(COMT)活性は阻害しなかった。 (3)化合物Xは、ERE-GFP-MCF-7を用いたERへの結合試験において、弱いアゴニスト作用を示したが、アンタゴニスト作用は示さなかった。また、S. cerevisiae YCM3を用いたAhRへの結合試験においてアゴニストおよびアンタゴニスト両作用は認められなかった。
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