2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700564
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
廣瀬 潤子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助手 (40381917)
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Keywords | 食事調査 / 授乳婦 / 母乳 / IgA / 食物アレルギー / オボムコイド / 哺乳量 / 食事摂取基準 |
Research Abstract |
生後1〜17か月齢の乳児をもつ授乳婦42名に母乳採取と哺乳量調査および食事記録票の記録にご協力いただいた。平均哺乳量は1〜5か月齢797.4ml、6〜11か月齢717.8mlであり、食事摂取基準の策定に使用された哺乳量のそれぞれ780ml、600mlを上回っていた。助産院での指導実態として、積極的な母乳育児の推奨が原因として考えられるため、今後地域なども変えた検討を加える。 母親の食事調査の結果、平均摂取エネルギー2092kcal、たんぱく質73.0g、脂質45.0g、炭水化物340.7gであり、食事摂取基準(年齢30〜49歳、身体活動レベルI、授乳婦)と比べ、脂質がが若干少なく、その影響で摂取エネルギーもやや少なかったが、母親の体重変化はほとんど見られず、また乳児の体重も平成12年度乳幼児身体発育調査3〜97%タイル値に入っていた。 母親の食事調査と乳児の成長を検討したところ、特に母親の脂質摂取量と乳児の体重増加量の間に正の相関が見られた。その他の栄養素との関連は低かった。母乳中のたんぱく質含量や総IgA量を測定したところ、母親の食事と母乳中のたんぱく質量に関連性は見られなかったが、母親の摂取たんぱく質量と母乳中総IgAの間に負の相関が見られた。摂取たんぱく質と腸管免疫系をはじめとする粘膜免疫系の応答との関連で興味深い結果である。 また、鶏卵たんぱく質の摂取と母乳中への分泌状況を解析したが、多くの場合は母親が頻繁に卵を摂取していても母乳中の卵白たんぱく質オボムコイド量は検出限界以下であった。さらに、一回の卵摂取量と摂取後の母乳中のオボムコイド量をみると1例ゆで卵摂取2時間後にオボムコイド量が3倍になる例があったが、ほとんどの場合変化がなかった。今回調査した母親の中で鶏卵料理の摂取は9名と少なく、乳児の食物アレルギーの発症を恐れて卵を食べ控えている母親が多く見受けられた。
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