2007 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外線吸光法による食用油脂の過酸化物価の非破壊測定
Project/Area Number |
17700569
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
福本 由希 Wayo Women's University, 家政学部, 講師 (20348379)
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Keywords | 油脂(固形食品中) / 過酸化物価 / 酸化速度定数 / 近赤外分光法 |
Research Abstract |
これまで液体油脂の酸化速度を検討し,さらに過酸化物価の非破壊測定について検討してきた.液体の食用油の酸化の速度過程については,1つの式にまとめられ(飯渕:農化, 70, 29-36, 1996),油脂の保存条件と反応速度定数(開始期,連鎖反応期,重合期,分解期)の関係が示されている.本年度は固形食品に含まれる油脂の酸化にも酸化速度式が適用できるか,また近赤外分光法による非破壊測定が可能かどうかを検討した.試料はポテトチップス,インスタントラーメン,クラッカー,揚げ米菓を用いた.紫外線を照射し強制的に酸化させ,経時的にサンプリングし, Carl Zeissの分光装置(950〜1700nm)を用いて近赤外スペクトルを測定し,スペクトルRの逆数の対数Iog(1/R)の2次微分値を求めた.酸化の程度はWheelerの変法により過酸化物価を測定した.その結果,近赤外スペクトルより得られた2次微分値と過酸化物価の測定値の相関が高かった1465nmの値を用いて,過酸化物価の値を単回帰式で示すことができた.試料とした固形食品は主としてパーム油が用いられていたため,パーム油の過酸化物価についても測定したところ,同じ波長で非破壊測定が可能であった.さらに,速度定数を求めた結果,開始期,重合期および分解期の速度定数の値は液体油脂と比べて大きな違いはなかった.しかし,連鎖反応期は液体油脂に比べて極めて小さい値であることがわかった.その理由として,固形食品中の油脂は他の食品成分と結合しているため互いに接触する機会が少ないので,連鎖反応が起こりにくいものと考えた. 本研究により,液体油脂および固形食品の油脂の酸化の程度を非破壊測定することが可能であることが示され,さらに固形食品中の油脂の酸化のメカニズムは液体油脂と油脂の存在状態が違うため,連鎖反応の進み方が異なることが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)