2006 Fiscal Year Annual Research Report
加齢時の蛋白質エネルギー栄養障害における腸管免疫機能の解析と感染症予防法の開発
Project/Area Number |
17700572
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
蕪木 智子 日本女子大学, 家政学部, 助手 (40339479)
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Keywords | 蛋白質エネルギー栄養障害 / 免疫機能 / IgA / プロバイオティクス / プレバイオティクス / シンバイオティクス |
Research Abstract |
昨年度の本研究費報告書にて、蛋白質エネルギー栄養障害(Protein-energy malnutrition ; PEM)を実験的に誘導した若齢および老齢マウスにおける免疫機能および栄養状態の低下を報告した。さらに、老齢PEMモデルマウスにおいては乳酸菌摂取による免疫機能や栄養状態の増強効果が認められた。本年度は若齢マウス(6週齢)を用いて、乳酸菌(NCC533株)およびフラクトオリゴ糖(FOS)摂取が実験的PEMモデルマウスの腸管免疫系、栄養状態に与える影響を検討した。 マウスに低蛋白食(5%蛋白食)を与えPEM状態を誘導し、対照としてコントロール群には20%蛋白食を与えた。さらに低蛋白食に乳酸菌またはFOSを単独で連続投与したプロバイオティクス(PRO)群、プレバイオティクス(PRE)群および乳酸菌とFOSを同時に連続投与したシンバイオティクス(SYN)群を設定した。低蛋白食を与えたすべての群で血清アルブミン、体重、糞抽出液IgAがコントロール群と比較し有意に低値を示したが、PRO、PRE、SYN投与の影響は認められなかった。小腸のHE染色による組織学的観察においては、低蛋白食群で形態学的な破壊傾向が観察された。また小腸の免疫染色においては、絨毛壁におけるIgAの発現頻度が低蛋白食により有意に低下していた。Secretor Componentにおいては免疫染色による発現に低蛋白食およびPRO、PRE、SYN投与の影響は認められなかった。以上の結果より、PEM状態では免疫機能、栄養状態の低下と同時に、小腸の組織学的弱化やIgA分泌低下が起こることが示された。また今回PEM状態におけるPRO、PRE、SYN投与の明らかな影響は認められなかったが、シンバイオティクスについては投与量や種類、組み合わせにより影響が異なることが推測され、今後さらなる検討が必要である。
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