2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血管内皮細胞の接着因子発現に対する食品の抑制効果とその作用機序
Project/Area Number |
17700573
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
村上 恵 近畿大学, 農学部, 講師 (80340769)
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Keywords | ポリフェノール化合物 / VCAM-1 / 血管内皮細胞 / 抗酸化 |
Research Abstract |
これまでの研究により、すでに抗酸化作用を有していることが明らかとなっているブロッコリー、オクラ、山伏茸、ハト麦若葉の水抽出物を用いてヒト血管内皮細胞の接着因子発現抑制作用について検討した。接着因子はIL-1βを惹起物質として用い、発現したVCAM-1をELISA法を用いて測定した。また食品の抗酸化作用とのかかわりと検討するために、血管内皮細胞に過酸化水素を添加し、過酸化水素障害に対する食品成分の影響について、細胞生存率をMTT法によって測定した。その結果、標準として用いたα-トコフェロール(発現率77%)と比較し、全ての食品の水抽出液でVCAM-1発現抑制作用が認められた。しかし、ブロッコリー(花蕾部)の抽出液には細胞毒性が認められた。ブロッコリー(花茎部)には細胞毒性は認められず、また最も高い発現抑制(発現率42%)が認められたことから、花蕾部には花茎部よりも大量に含まれる成分が細胞毒性に影響していると考えられたが、成分の同定には至らなかった。その他のVCAM-1発現率は山伏茸、オクラで約70%、ハトムギ若葉で約60%であった。これらの抽出液の抗酸化作用をMTT法で測定したところ、ハトムギ若葉、オクラとブロッコリー(花茎部)に細胞保護効果が認められた。接着因子発現と抗酸化作用との関係を調べたところ、相関は認められず、接着因子の発現抑制には抗酸化作用以外の成分の機能性が関与している可能性が示唆された。そこで、ブロッコリーやハトムギ若葉などに含まれているポリフェノール化合物の標品をもちいて同様に接着因子発現抑制作用と抗酸化作用について現在検討中である。
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