2006 Fiscal Year Annual Research Report
国際協力における理科教師に対する実験指導力育成アプローチに関する基礎的研究
Project/Area Number |
17700596
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
畑中 敏伸 東邦大学, 理学部, 講師 (30385942)
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Keywords | 国際協力 / 科学教育 / 教師教育 / 実験指導 / 開発途上国 / ライフヒストリー法 |
Research Abstract |
理科教師の実験指導力を育成するためには,フィリピン理科教師がどのような経験を積み教師になってきたのかを明らかにする必要がある.これまで国際協力の援助機関の調査は,数量的な教育指標に関わるデータ収集や,教育行政官や校長などのインタビューにとどまっていた.教師の資質能力の向上のためには,教師を対象とした継続的且つミクロな調査が必要である.このような,研究関心から本研究では,社会調査で使われるライフヒストリー法を用いてフィリピン理科教師の学齢期の経験,教員養成での経験,教員研修での経験を明らかにした.調査は,フィリピン間の地域間の違いが想定されるため,本年度は2カ所で実施した.1カ所目は,都市部としてマニラ首都圏の中等学校,2カ所目は地方としてミンダナオ島東ダバオ州のルポン町近隣の中等学校を対象に調査を実施した.調査対象数は,マニラ首都圏において11名,ミンダナオ島において13名であり,調査としてインタビューを各1時間程度実施した.調査の結果,教員の学齢期には学校では十分な理科実験の経験が無く教育環境も不十分であった.教員養成では必ずしも十分な理科実験経験を積んでいない.また,大学院を含む教員研修の経験は,大学へのアクセスのよいマニラ首都圏の教員の方が多いことが明らかとなった.また,教員を選択した理由にっいては,40代以上の教員については他の職業に比べ職を得るチャンスが高かったという教員へのなりやすさを指摘していた.以上の結果より,理科教師の実験指導力を形作るこれまでの経験を明らかにすることができたが,今後,実験指導力を育成するためのアプローチを考察するためには,より詳細に教師のバックグラウンドを明らかにする調査が必要である.
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