2006 Fiscal Year Annual Research Report
情報教育における効果的な学習環境の構築を目的とした認知科学的研究
Project/Area Number |
17700604
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
齋藤 ひとみ 愛知教育大学, 教育学部, 助手 (00378233)
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Keywords | 外化 / 認知プロセス / プロトコル分析 / 算数文章題の解決過程 / ノートテイキング / 方略 / マンガ / 要約作成 |
Research Abstract |
本研究の目的は,情報教育における効果的な学習環境の構築を目指し,(1)情報教育における「操作手続き」と「その背後にある理論・概念的知識」との乖離を解消するため学習環境の構築と,(2)「考える力」の育成を目的とした,インターネットを用いた情報の収集・分析・調査に関する統合的な学習環境の構築・実践である。 平成18年度は,目的(1)の支援方法について検討するために,実験や実践をとおしてデータの分析を行った。結果の概要を以下にまとめる。 研究1:算数文章題の解決過程における図の利用に関する検討 算数文章題の解決過程における図的の利用についてプロトコル実験を実施した。実験の結果,高成績者は最初に図を書いたあとはほとんど図に戻らないのに比べ,低成績者は図の再利用が非常に多いことが明らかになった。この図の利用方法の違いは,解決プロセスの違いを反映していることが示唆された。 研究2:ノートテイキングにおける方略使用が学習に与える効果に関する検討 ノートテイキングにおける下線引きや囲み,強調といった方略の使用が学習内容の理解に与える効果について実際の授業における学習者のノートを対象に検討した。学習者のノートを分析した結果,大学生も高校生も,事後テスト得点の上位群は下位群に比べ,方略使用数およびキーワード数が有意に高いことが確認された。 研究3:マンガによる学習内容の提示や,図による要約作成の効果 学習内容の理解における提示形式と要約作成形式の効果について検討した。提示形式としてマンガと説明文を,要約作成形式として図と箇条書きを用いた。マンガ+図,マンガ+箇条書き,説明文+図,説明文+箇条書きの4つの条件間でのテストの正答率を比較した結果,マンガ+図条件が他の条件に比べて正答率が有意に低かった。このことから,教材の提示形式と要約作成形式の組み合わせ方によって学習者の理解に違いがあることが確認された。
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