2005 Fiscal Year Annual Research Report
文字メディアを利用した読解リテラシーの形成方法に関する研究
Project/Area Number |
17700611
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西森 章子 大阪府立大学, 人間社会学部, 講師 (50294012)
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Keywords | 読解リテラシー / 学習プログラム / 説明文的テキスト / 作動記憶 / 理解モニタリング教授 / 推論問題 / 就学前児 / 中学生 |
Research Abstract |
読解リテラシーのうち,「テキスト情報をもとに正しく推論する力」を形成する方法を開発・実施し,その効果を検討した。 研究1:就学前児のテキスト理解を導く援助的手だての開発とその効果 テキスト理解を導く援助手だてとして「言語化経験」に注目し,その効果を検討した。「言語化経験」には,内言化(心の中で復唱する)と外言化(声に出して復唱する)の2種類があり,特に内言化経験は,文章の基本的伝達内容を促進するとされる。研究1では,これら2種類の言語化経験を促すことで,就学前児のテキスト理解にどのような影響が見られるのか,とりわけ,作動記憶容量の小さい幼児のテキスト理解にどのような影響をもたらすか検証した。説明文テキストを素材に,就学前児65名を対象にセッションをおこなったところ,以下の点が明らかになった。 (1)文脈や主旨の把握といった高次レベルでの理解については,言語化経験よりも,作動記憶容量が強く影響する。 (2)作動記憶容量の小さい幼児は,言語化経験の影響を受けやすい。作動記憶容量の小さい幼児に対し,状況モデルの形成を積極的に導く場合には,内言化を促す手だてがより適切である。 研究2:中学生のテキスト理解を導く学習セッションの開発とその効果 テキスト理解を導く方法として,理解監視方略教授に焦点をあてた。研究1では学習者に能動的な活動を求めたのに対し,研究2では,学習方略を教えており,学習者に受動的な学習活動を求めている。説明文テキストを素材として,3回分の個別学習セッションを開発した。具体的には,教師が理解監視をする様子を学習者に観察させ,理解監視方略学習に取り組ませた。中学生10名を対象に実施し,以下の点が明らかになった。(1)セッションを繰り返すことにより,生徒はテキスト内情報を問題解決に応用し,推論を立てるようになった。(2)学習方略に対し消極的だった生徒に本学習セッションは,より有効であった。
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