Research Abstract |
情報処理教育では,教育環境を整えて先端の情報技術を教育することは,情報爆発時代を生き抜いてゆくために重要なことであると考えられる。しかしながら,全ての教育機関が最新の情報機器を導入し,学習者に提示できる環境を保持することは難しい。一方,早期からの教育へのコンピュータ導入が当たり前となっている現在では,情報技術を自らの技能として取捨選択し,活用できるような人材を育成する教育も重要となっている。筆者は,学習者の学びたい欲求を引き出し,満足させることに重点を置き,情報活用能力の自主的向上を手助けするような学習支援システムの構築を目指している。本年度は,学習者が情報処理教育に対して自信を深めたり積極性を高めたりする要因を掴むため,授業実践を通した学習者の実態調査を行ってきた。実践のフィールドとして情報リテラシー科目を取り上げ,コンピュータに対する学習者の自信の度合いや積極性を高めることを目指した授業デザインを行った。また,学習者が将来のコンピュータ活用をイメージできるよう,実務に即したテーマも取り入れた。アンケート調査として,コンピュータを利用する作業場面をイメージしながら回答させる設問を用意し,場面ごとの意識の変化を実践前と実践後で比較した。結果として,入学時のコンピュータに対する利用経験に関係なく,必要となる操作技術を選択させて課題を遂行させることで,自信や積極性が向上することが明らかとなった。この成果は,11月に九州大学で開催された,平成17年度情報処理教育研究集会において発表を行った。また,半年間の岡山へ内地留学を行い,専門的知識の提供を受けながら教育方法論についての調査,研究を行った。平成18年度は,質的調査法による面接や観察を取り入れて,自信や積極性の程度が変化する瞬間や場面を掴み,学習支援システムに盛り込んでいく予定である。
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