2005 Fiscal Year Annual Research Report
eラーニングにおけるオンライン討論を活性化する携帯電話ソフトウェアの開発と評価
Project/Area Number |
17700626
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中原 淳 東京大学, 大学総合教育研究センター, 助教授 (00342618)
|
Keywords | eラーニング / 協調学習 / 携帯電話 |
Research Abstract |
本研究の目的は、eラーニングサイトにおける電子掲示板上のディスカッションの内容(質的データ)を、携帯電話に可視化する携帯電話ソフトウェア(iTree plus)を開発し、評価を行うことにある。 現在、国内大学の20.8%がeラーニングによって授業を公開しており、そのうち4.6%が単位付与を既に行っている。eラーニングによる学習は、講義ビデオ視聴などの個別学習に加え、ディスカッション(オンライン討論)などが組み合わされて構成される。これまで筆者は、「協調学習」を促進する各種のソフトウェアを開発してきた。そのひとつにeラーニングサイトの電子掲示板の状況変化を、各学習者の所持する携帯電話の待ち受け画面に表示するソフトウェア「iTree」がある。iTreeを用いる学習者が、自分の意見を電子掲示板に書き込んだり、返信を行ったり、他者のメッセージを閲覧すると、携帯電話の待ち受け画面上の木が「成長」する。たとえば、他の学習者からメッセージが寄せられたときには、赤い実が1つ表示される。 学習者は、自分の携帯電話に表示される木の変化の様子を通じて、出先であっても、PCを用いずに電子掲示板上の様子を把握することができる。このことで学習者は電子掲示板上のディスカッションにより積極的に関与することができる。比較実験の結果、iTreeを用いた学習者は、より積極的に、電子掲示板上の他者の意見を閲覧するようになった。しかし、自分の意見を表明したり、他人の意見に対して反論を行うなどの投稿活動を促進することに関しては、統計的有意な差が見られなかった。 そこで本研究では、従来の仕様に「メッセージ内容の要約文を携帯電話の待ち受け画面に提示する」等の機能を追加して、既述した目的を達成することをめざした。その前段階として、ヴィジュアルコミュニケーションデザインの学習効果に対する影響を調査した。上記の研究成果については、コンピュータによる協調学習の国際会議「CSCL」等にて発表を行った。また、上述した機能、ユーザインタフェースを検討するとともに、それを仕様書のレベルまで具体化する必要があり、仕様書作成を行った。 来年はこの仕様書をもとにプロトタイプを開発する。ここ1年でRSS等のXML技術、FLASHCAST等の携帯電話インタフェース構築技術が、本研究を策定した当初の予想をこえてすすんだので、これを盛り込んだ新機能を開発するものとする。
|
Research Products
(2 results)