2005 Fiscal Year Annual Research Report
胎土中ジルコンの測定および解析による陶磁器の産地推定
Project/Area Number |
17700636
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
小瀬戸 恵美 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (80332120)
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Keywords | ジルコン / 高麗青磁 / 韓国全羅道 / 電子線プローブマイクロアナライザ |
Research Abstract |
本研究は、陶磁器胎土中のジルコンに注目して産地推定を行うものであり、平成17年度は胎土に含まれるアクセサリー鉱物であるジルコンのジルコニウム、ハフニウム、鉄、珪素の含有量比較による産地推定の試みを行った。その結果、韓国全羅道の康津地域4窯址、高敞地域1窯址、扶安地域2窯址、海南地域2窯址から出土した高麗青磁各5点ずつ、計45点を対象とし、波長分散型検出器を付設したEPMA(電子線マイクロアナライザ)を用いて、その胎土中ジルコンの成分組成を分析した。ハフニウムと鉄、ジルコニウムとケイ素の関係をみることによって、「康津窯址グループ」「高敞窯址グループ」「扶安・海南窯址グループ」の3グループにわけることができた。また、この結果をもとに全羅南道務安道里浦から引揚げられた14世紀後半の高麗青磁資料4点について胎土中のジルコンの成分組成を測定・比較したところ、「康津窯址グループ」のものである可能性がもっとも高いという成果を得た。これは、務安道里浦海底遺跡出土青磁が、全羅南道康津郡大口面沙堂里10号で生産されたものではないかという考古学の研究成果と一致するものである。 また、本手法と従来の自然科学的手法との関係を確認するために、蛍光X線分析やICP発行分光による胎土全体の元素分析に着手した。 平成18年度は、現在類似陶磁製作現場における粘土・水ひ後粘土(胎土)・焼成後陶磁資料を採取し、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、珪素、ウラン、トリウム、鉛などの測定とデータ蓄積をおこなう予定である。
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