2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17700638
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
宮本 真二 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸員 (60359271)
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Keywords | 花粉分析 / 遺跡 / 動物遺体 / 淡水魚 / 水田 / 地形環境 |
Research Abstract |
今年度は下記の研究課題の検討を行った. (1)日本海側の若狭湾沿岸地域は,第四紀の陸域の気候変動,動植物相の変化,さらには日本海の海洋環境の変化との相互関係を解明するうえで重要な地域である。本研究では当該地域のボーリング・コア堆積物の花粉分析を行い下記の結果を得た.相対値法においては花粉の産出変動が大きく表現される傾向にあり,絶対値法では産出量の変動が小さく,分類群ごとの変動がよく表現された.短期間に同質の植生が形成されている場合,個々の分類群ごとの産出量の変化は相対値法では検出できない.よって,個々の分類群ごとの産出量変化は,絶対値法によってのみ検出される.また,絶対値法による花粉分析によって明らかになった花粉化石の堆積開始期を先行研究と比較した結果,日本海沿岸地域における晩氷期以降ブナ属などの産出パターンは先行研究とは逆の傾向であった.(東京都立大学博士(理学)学位論文) (2)また,淡水魚の分布変化と人為との関係性を検討するため,遺跡から検出される動物遺体の検討を行い,日本列島の主要淡水魚であるコイやフナ類の増加は,近代以降であることが明らかとなった.(動物考古学投稿中). (3)生産遺跡の立地環境を考察するために,滋賀県守山市,古高・経田遺跡において地形環境変化の検討を行った結果,河道の埋積過程における低湿な場を利用して,水田や畑作が行われていたことを明らかとした.(遺跡発掘調査報告書掲載) (4)そのほか,東アジア地域での比較のため,台湾およびインド東部において水田の立地環境の解明のための予備調査を行った.
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