2005 Fiscal Year Annual Research Report
疾病流行監視・予測のためのノンパラメトリック時空間分析手法の開発
Project/Area Number |
17700647
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中谷 友樹 立命館大学, 文学部, 助教授 (20298722)
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Keywords | 空間疫学 / 時空間的予測 / 地理的加重回帰法 / クラスター検出 / GIS / 空間統計学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、疾病分布にあるローカルな共変動特性を検出する地理的加重ポアソン回帰法(GWPR)を、時空間的な疾病分布推移の追跡・予測手法に拡張しようとするものである。すなわち、空間的あるいは時空間的な近傍を定義する重み付け関数(カーネル)を利用した重み付け回帰を用いて、ローカルな共変動ルールを効率的に推定しようとする時・空間条件付ノンパラメトリック回帰分析手法の提案である。 まずは、感染症監視のための空間的技法のレビューを実施した。とくに犯罪データ分析や空間疫学におけるローカルなクラスター検出技法を、その理論的背景とともに利用可能なソフトウェア環境についてもあわせて整理した。具体的には、CrimeStatの犯罪集積の最近隣尺度によるクラスタリング、GeoDaに実装されているローカルな空間的自己相関分析、SaTScanによるSpatial (Temporal) Scan Statisticsを比較、整理した。 続けて、時空間的なカーネルを用いた疾病集積の検出に関してその理論的な方法論を検討した。ただし、時系列データに対する予測には、未来のデータは利用できないため、時間の次元については非対称な(過去にのみ重み付けを行う)カーネルの有効性についても、時系列でのローカル回帰の手法とあわせて理論的な考察をはかった。しかし、現段階では、プロタイプ的なソフトウェアを開発する段階にとどまり、現実のデータに適用をはかってはいない。 わが国の感染症サーベイランス資料への適用を検討するために、STD(性感染症)およびHIVを中心に協力研究者に聞き取りを実施し、報告医療機関(定点)の設定方法や、届出の遅れ等の統計データとしての問題を整理した。また、社会病理の指標である犯罪データでの適用可能性も、疾病データと類似した地理的発生イベントとして、その分析可能性も検討し、データの整備をはかった。
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Research Products
(3 results)