2005 Fiscal Year Annual Research Report
流域スケールへの適用に向けた大気-森林動態モデルの開発
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17710002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸田 求 北海道大学, 低温科学研究所, 学術研究員 (40374649)
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Keywords | 環境変動 / 気象学 / 生物圏現象 |
Research Abstract |
申請者は、本研究課題申請資料の「研究計画・方法」に記載した計画に基づいて、天気-陸面モデル(MINoSGI)の開発および同モデルに不可欠となる野外観測を実施した。本年度の研究計画について、資料では以下のように記載した。 (H17-1):落葉針葉樹版のモデル開発と野外観測研究 (H17-1.1):フェノロジーサブモデル(H17-1.2):成長プロセスモデル 本年度、フェノロジーサブモデルを完成させ、国内の学会、国際ワークショップ^<*1>での発表を行い、また学術論文^<*2>を作成し、現在は投稿中である。落葉樹は限定された期間において光合成活動を行い、成長を高める。この成長量にもっとも大きな影響を与えるプロセスが、着葉・落葉の時期およびその量である。従来の生態モデルでは葉量を一定または最も光合成能を高めるような最適な葉量をとるものとして決定していた。しかしながら、実際には群落の様々な物理環境に大きく支配されることから、環境条件の影響を反映した植物の生理生態的な応答の結果としで決定される必要があった。本モデルの特色は次年度の葉量の決定に際し、前年の炭素固定量を反映させるモデルであった。そのために、樹木の成長期間を知るための野外観測が必要となった。これらの特色を元に同モデルを落葉樹種林分へ適用した。8年間の数値実験を行い、野外観測データとの比較を行った結果、モデルは林分レベルの現存量、平均個体樹高、幹直径など基本的な森林動態量を的確に再現することに成功した。来年度はより詳細な測定の継続と他種間群落個体の生存戦略解析を行う。 ^*1 Toda M. et al : A leaf phenology model based on seasonal carbon allocation for deciduous forest dynamics, Asia flux workshop, Fujiyosida, Japan, 2005. Toda, M. et al : Effects of climate change on forest dynamics, water and carbon balances : a long-term simulation study, Global Land Project 合同シンポジウム, Sapporo, Japan, 2006. Toda, M.:Effects of climate change on forest dynamics and carbon cycle : a long-term simulation study, The Second Scientific Congress of East Asian Federation of Ecological Societies (EAFES2), Niigata, Japan, 2006. 戸田求ら:環境変化が森林動態や競争過程に及ぽす影響のシミュレーション研究,農業気象学会,金沢大学,2005. *2 Toda, M., M.Yokozawa, A.Sumida, T.Watanabe, T.Hara : A leaf phenology model based on seasonal carbon allocation for deciduous forest dynamics. (Submitted to Ecological Modeling on 30 Nov. 2005)
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