2005 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性有機エアロゾルの高感度実時間連続測定法の開発
Project/Area Number |
17710004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 雄三 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (60376655)
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Keywords | エアロゾル / 大気組成分析 / 有機炭素 / 環境動態解析 / 雲凝結核 |
Research Abstract |
大気エアロゾルは太陽光を散乱・吸収する直接効果に加えて、雲凝結核として雲粒の形成に寄与する間接効果により地球の放射収支に大きな影響を与えると考えられている。中でも有機成分は質量比で全エアロゾル中の重要な画分であることに加え、無機塩と同程度に高い雲凝結能を持つことが示唆されている。本研究では粒子液化捕集装置、樹脂吸着分離法及び有機炭素分析装置を用いた高時間分解能(5分)での水溶性有機エアロゾル自動連続測定システムの開発と測定精度の向上を図るために以下の研究項目を実施した。 1.粒子液化捕集装置による粒子の捕集及び検出器への連続抽出に関する最適化実験を行った。この結果、粒径0.02-9μmの粒子の捕集効率はほぼ100%であることがわかった。試料大気捕集の際、干渉成分となる揮発性有機化合物を除去するために導入ラインにカーボンデニューダーを用いると同時に、テフロンフィルターをバイパスしたブランク値自動測定用の試料大気導入口の設計製作を行った。実大気の測定を行った結果、ゼロレベルの時間変動は±3%以内と小さく、全体の測定精度としても±9%と高精度で測定できることがわかった。 2.実大気測定を行い、フィルター捕集による炭素分析法(捕集時間12時間)との比較を行った。その結果、両者の質量濃度は12%の範囲内で良く一致し、従来の測定手法と同義の水溶性有機エアロゾルを飛躍的に高い時間分解能で精度良く測定できることが明らかになった。 3.XAD樹脂カラムを用いて、捕集した溶存液中の非水溶性(疎水性)有機エアロゾルを選択的に自動捕集分別し全有機炭素検出器にて検出するシステムを構築した。オフラインで代表的な水溶性(親水性)有機成分の標準溶液を数種類、樹脂カラムに通水しその透過効率を詳細に調べた。その結果、低分子カルボン酸などの有機成分はほぼ100%の透過効率で検出されることを確認した。
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