2005 Fiscal Year Annual Research Report
アレロパシー効果を活用した植生浄化のための基礎的研究
Project/Area Number |
17710005
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中井 智司 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 講師 (80313295)
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Keywords | アレロパシー / 水生植物 / カンナ / フェノール化合物 |
Research Abstract |
栄養塩を添加した5Lの水中でヨシ、コガマ、カンガレイ、シュロガヤツリ、カンナを室外で10日間栽培し、これを固相カラム(OASIS HLB、Waters)により濃縮した。そうして得た1000倍濃縮液をシアノバクテリア培地に加え、これにMicrocystis aeruginosaを植種して培養した。その結果、全ての水生植物の濃縮物にM.aeruginosaに対する増殖抑制効果が認められた。これより、ヨシ、コガマ、カンガレイ、シロガヤツリ、カンナがM.aeruginosaの増殖を抑制する物質を放出していることが確認された。また、各々の蔵相抑制効果を比較すると、ヨシ、コガマ、シュロガヤツリの抑制効果は、カンナやカンガレイよりもやや大きく、増殖量を99%以上抑制した。なお、濃縮前のヨシ、コガマ、シュロガヤツリ栽培液の溶存有機炭素濃度は2.5〜4.3mg/Lであり、抑制効果が比較的弱かったカンナ及びカンガレイ(各々1.6mg/L、1.3mg/L)よりも高く、増殖抑制効果とDOCとの間に関連がある可能性も認められた。 次に、アレロパシー物質の検索を行った。対象は比較的強い増殖抑制効果を示したヨシ、植生浄化後の植物体が花卉としての価値があるカンナを選択した。同様に栽培して得た栽培液2Lを上述のように固相抽出してt-ブチルメチルエーテル/メタノールで溶出させ、N_2ガスにより溶媒を除去後、BSTFAを用いて誘導体化を行った。これをGC/MS分析した結果、プロトカテキュ酸など藍藻類に対して増殖抑制効果を示す物質を検出した。
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