2005 Fiscal Year Annual Research Report
大気化学輸送モデルと結合したインバースモデルによる排出源分布の推定手法の開発
Project/Area Number |
17710012
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
倉田 学児 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (90283506)
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Keywords | 大気化学輸送モデル / 排出量インベントリー / インバースモデル / 大気汚染 / 航空機観測 / オゾン |
Research Abstract |
全球的な気相物質・粒子状物質の大気中への排出量分布を求めることは、それらの対流圏大気化学プロセスを通した地球規模の気候変動や生態系への影響などを定量的に把握する上で重要である。しかし、従来の基礎統計資料を用いたボトムアップ的な排出量インベントリー解析は、膨大な情報を必要とする上、急激な社会変化に対応する事が難しく精度向上には限界がある。そこで、本研究では、地上観測網や航空機観測データなどから得られる大量の観測データからインバース的に排出源マップを作成し、従来のインベントリーを補完しうる手法を構築する事を目的とする。 今年度は、まず既存の排出源インベントリーの収集と整理を行うと共に、本研究のモデル領域・解像度に合うように排出源データセットを作成した。また、2001年2月〜5月のTRACE-P/ACE-Asia観測をはじめとして、2001年〜2004年に実施された地上観測・航空機観測のデータを収集して、データベースとして格納した。 さらに、これまで当研究室で開発してきた全球三次元大気化学輸送モデルを用いて、通年のシミュレーションを実行した。これによって3次元空間内のラジカル類を含む化学物質の濃度場および気象場、拡散係数、沈着量などのデータセットを作成することができた。 さらに研究のベースとなるインバースモデルのプロトタイプを作成し、長寿命の化学種については、移流・拡散等の効果を反映して排出源分布の再構築ができる事を確認した。
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