2005 Fiscal Year Annual Research Report
構造土をもとにした高緯度北極陸上生態系の土壌呼吸速度の広域推定
Project/Area Number |
17710018
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
内田 雅己 国立極地研究所, 研究教育系, 助手 (70370096)
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Keywords | 土壌呼吸速度 / 構造度 / 高緯度北極 / ノルウェー / スピッツベルゲン島 / 陸域生態系 / 氷河後退域 |
Research Abstract |
北極陸域には土壌の凍結・融解作用などによって生じる構造土が発達している。構造土のタイプや土壌の移動量は植物の分布を規定する重要な要因の一つであることから、土壌呼吸速度も構造土の影響を受けている可能性がある。そこで高緯度北極陸域生態系において、構造土の視点から土壌呼吸速度の空間的な推定の可能性を調査した。 ノルウェー・スピッツベルゲン島ニーオルスン(79°N)の氷河後退域に調査地を設定し、淘汰型(SP)および不淘汰型(NSP)多角形土を選出した。不淘汰型多角形土については、中央部を藻類に覆われているタイプ(NSP-sc)と覆われていないタイプ(NSP-n)とに分類した。SPの中央部は全て藻類に覆われていた。いずれの構造土も周縁部は維管束植物とコケ植物が優占していた。2005年7月下旬に各構造土の中央部と周縁部にソイルカラーを設置し、携帯用土壌呼吸速度測定装置(LI-6400)を用いて各構造土の土壌呼吸速度を測定した。 全ての構造土において、土壌呼吸速度は中央部よりも周縁部の方が高かった。中央部の土壌呼吸速度は0.2〜0.5μmolCO_2m^<-2>s^<-1>と著しく小さく、それぞれの構造土のタイプ間で有意な差は認められなかった(P>0.05)。一方、周縁部の土壌呼吸速はNSP-scが他の2タイプよりも有意に高かったものの(P<0.05)、SPとNSP-nとの間には有意な差は認められなかった(P>0.05)。以上から、構造土単位で土壌呼吸速度を推定する際には、構造土中の植生タイプ毎の面積を把握することの重要性が示唆された。さらに、同タイプの構造土であっても、土壌呼吸速度は土壌の移動量などの違いによって異なる可能性のあることが推察された。
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[Journal Article] Ecosystem development and carbon cycle on a glacier foreland in the high Arctic, Ny-Ålesund, Svalbard.2005
Author(s)
Nakatsubo T., Bekku Y.S., Uchida M., Muraoka H., Kume A., Ohtsuka T., Masuzawa T., Kanda H., Koizumi H.
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Journal Title
Journal of Plant Research 118
Pages: 173-179
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