2005 Fiscal Year Annual Research Report
消費者行動分析と廃棄物産業連関分析の統合と持続可能な消費に関する研究
Project/Area Number |
17710033
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教授 (80313584)
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Keywords | 廃棄物産業連関分析 / 持続可能な消費 / リバウンド効果 |
Research Abstract |
モデルの開発とデータベースの構築,およびシナリオ分析を行った.詳細は以下の通りである. モデルの開発:「持続可能な消費」分野で指摘される「リバウンド効果」を適切に考慮しつつ消費行動に起因する環境負荷を考慮するため,消費者が予算制約と時間制約の両者に直面したときの行動モデルを構築する必要がある.この目的のために,ランカスター流の「新しい消費者理論」に基づく効用最大化モデルを構築した.各消費行動に要する財および時間については線形技術を採用し,各消費行動の活動水準の生み出す効用を表す効用関数についてはコブ・ダグラス型を採用した. データベースの構築:最新の産業連関表(平成12年表)に対応した廃棄物産業連関表の構築を受けて,これと整合的な家計調査データとの対応付け,家計消費と家庭系一般廃棄物排出量との対応付けに関するデータを整備した.さらに,社会生活基本調査から得られる活動別生活時間データを消費行動分類と所要時間の基礎データと位置づけて,これに財消費,それに連なる産業部門別消費需要と廃棄物排出量とを対応付けるコンバータ行列,すなわち,消費線形技術の技術係数行列のデータを整備した. シナリオ分析:「持続可能な消費」分野で典型的なシナリオである交通手段の選択についてシナリオ分析を行った.自家用車の利用を抑制することは,環境負荷低減に効果があるとの結果が得られた. 生産サイドについての評価ではなく消費に着目した評価の文脈では,「食」のもつ環境負荷が注目されている.これに関連して,内食・中食・外食の代替について考察した.エネルギー効率に関する規模の経済性を前提としても,炊事に係るエネルギー効率と輸送に係るエネルギー効率の両者を勘案すると,一概にどの食事形態の環境負荷が低いかは分からない.開発したモデルによる評価の結果,内食の抑制は環境負荷低減に効果があるとの結果が得られた.
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Research Products
(2 results)