2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ素材が凝固線溶系に及ぼす影響とそのメカニズムの解明に関する研究
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17710040
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
井上 健一郎 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 主任研究員 (20373219)
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Keywords | ナノ素材 / 凝固線溶系 / 細菌毒素 |
Research Abstract |
1.ナノ素材の経気道曝露が、血液凝固・線溶系に及ぼす影響 ナノ素材の経気道曝露により気道での炎症細胞浸潤が有意に惹起された。炎症の程度はより小さな素材の方が強く、大きくなるにしたがって弱まった。肺での炎症性サイトカインの発現も気道炎症と同様の傾向であった。血液凝固系のマーカーに関してはナノ索材の単独経気道曝露では明らかな変化はもたらさなかった。 2.ナノ素材の経気道曝露が、肺での炎症に伴う血液凝固・線溶系に及ぼす影響 細菌毒素成分の経気道曝露によりコントロール曝露と比較して気道炎症及び肺での炎症性サイトカインの発現が明らかに惹起された。また、細菌毒素成分の曝露によりコントロール曝露と比較して血液凝固異常が明らかに惹起された。ナノ素材と細菌毒素成分との併用曝露は、細菌毒素成分の単独曝露と比較してこれらの気道(肺)炎症及び血液凝固異常を明らかに増悪した。その増悪程度は、最も小さなナノ素材と細菌毒素成分との併用曝露において顕著であった。 以上の成果から、1)ナノ素材の経気道曝露は、素材の大きさと程度が逆相関して気道炎症を惹起するが.明らかな血液凝固異常は惹起しない、2)ナノ素材の曝露は、細菌毒素成分の経気道曝露により誘発された気道炎症及び血液凝固異常を増悪しうる、3)ナノ素材による細菌毒素誘発気道炎症及び血液凝固異常の増悪効果は、素材の最も小さなもので顕著に発揮される、ということが明らかとなった。 本結果は気道曝露されたナノ素材が、感染性肺疾患の憎悪要因のみならず、狭心症や心筋梗塞といった心血管系疾患の危険因子となりうることを実験的に証明した。
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Research Products
(12 results)