2006 Fiscal Year Annual Research Report
迷走神経を介した放射線による宿酔症状発症における脳内グルタミン酸神経系の役割
Project/Area Number |
17710044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 浩一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40362694)
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Keywords | 放射線宿酔 / 自律神経系 / 悪心・嘔吐 / ラット / テレメトリーシステム / スンクス / マイクロダイアリシス法 / グルタミン酸神経系 |
Research Abstract |
放射線宿酔の発症に随伴して、循環器系・消化器系・内分泌系の変化など自律神経反応が現れるが、宿酔発症とこれら自律神経系との関わりについては未だ不明な点が残されたままである。 申請者は体温・心拍数を継続的に記録できるテレメトリーシステムをラット腹腔内に留置する手術を行った後、9:00点灯-21:00消灯となる明暗サイクル下で飼育した。約1週間の馴化期問を経た後、9:00にラットが放射線宿酔を発症するX線4Gyを全身照射し、その後の体温・心拍数の変化を記録した。その結果、照射後に体温・心拍数ともに増加した。さらに、体温・心拍数の変化は抗炎症作用をもつデキサメタゾンによって抑制される傾向が見られた。体温増加などには炎症性サイトカインなどの関与が考えられことから、今後放射線宿酔の発症にサイトカインの産生動態とどのように関わっているか明らかにしたいと考えている。 また、申請者は脳微小透析(マイクロダイアリシス)法を用いて放射線宿酔発症には視床下部グルタミン酸遊離増加が関与することを明らかにした。そこで、香港中文大学Rudd准教授との共同研究で、嘔吐反射のあるSuncusの脳内にダイアリシスプローブを刺入し、自由行動下で経時的にグルタミン酸遊離を測定しながら、抗癌剤を用いて嘔吐を惹起させ、グルタミン酸遊離が嘔吐反射に必要なのか、発熱、食欲不振,悪心、疲労感に必要なのか検討した。その結果、嘔吐反射は抗癌剤投与40分後から160分後まで継続して発症していたが、グルタミン酸遊離は抗癌剤投与40分後から240分後まで続いた。このことから、グルタミン酸は嘔吐反射のほか、悪心溌症いずれにも起因する情報伝達物質であることが示唆された。今後、グルタミン酸受容体遮断薬が悪心発症にどの様に関与しているのかを明らかにすることを通じて、悪心の発症における脳内グルタミン酸の役割を詳細に解明したいと考えている。
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Research Products
(1 results)