2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化還化遺伝子変異によるビスフェノールA高感受性に関するメカニズムの解析
Project/Area Number |
17710050
|
Research Institution | Japanese Institute of Pearl Science |
Principal Investigator |
渡辺 將人 (財)日本真珠研究所, 細胞生物学研究部, 研究員 (00321688)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 なな子 (財)日本真珠研究所, 研究員 (30342702)
|
Keywords | ビスフェノールA / 環境ホルモン / 線虫 / 酸化還元 |
Research Abstract |
我々は線虫(Caenorhabditis elegans)を使って、環境ホルモンとして知られるビスフェノールAに対し高い感受性を示す変異体を分離し、その原因遺伝子として酸化還元遺伝子(本遺伝子とする)の変異がビスフェノールAに対し高感受性を引き起こすことを見出した。本年度では本遺伝子の基礎的な解析を行った。はじめにレポーター遺伝子による発現解析では本遺伝子のプロモーター下流に視覚的マーカーとなる緑色蛍光タンパク(EGFP)を繋いだレポーターベクターを構築し、卵巣に遺伝子導入後、その産仔についてEGFPの蛍光を観察した。EGFPの発現は幼虫期(L1からL4)の体表全体で観察され、主に表皮の細胞で発現していることが示唆された。次に本遺伝子変異をレスキューするベクターを構築し、これを野生型の線虫に導入して、本遺伝子を一過性に過剰発現させた線虫のビスフェノールAに対する感受性を検討した。その結果、その一過性発現させた遺伝子導入線虫とコントロールとの間にはビスフェノールAに対する感受性に差は見られなかった。RNA干渉法(RNAi)実験では、本遺伝子と同じ遺伝子ファミリーに分類される28種類の遺伝子についてRNAiによる遺伝子のノックダウンを行い、これら遺伝子とビスフェノールA感受性との関連性を調べた。その結果、4種類の遺伝子についてembryonic arrestの表現型がみられただけであり、各々の遺伝子ノックダウン体においてビスフェノールAに高い感受性を示すような表現型は観察されず、ビスフェノールA高感受性の表現型は今回調べた28種類の遺伝子の中で、本遺伝子変異のみに観察される特有のものであることがわかった。
|