2005 Fiscal Year Annual Research Report
軟X線照射後に生成するDNA鎖切断末端の分子化学構造の定量化
Project/Area Number |
17710051
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
藤井 健太郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究職 (00360404)
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Keywords | 軟X線 / DNA / 鎖切断 / 末端構造 / 分子化学構造 |
Research Abstract |
軟X線照射によるDNA鎖切断機構について、その定量的評価が本研究の主な目的である。本年度は照射に用いる軟X線の定量化を行うための光量モニターを整備し、スリットを用いて成形した軟X線を金蒸着した基板の光電流を測定することで定量化を行った。DNA試料に対する照射は、一定量の放射光軟X線照射場にDNA薄膜を乗せた基板をパルスモーターによって一定速度で移動させることで、均一な軟X線を照射することが可能になった。 また大腸菌(CC104)から精製したプラスミドDNA(pUC18)に対して工業用軟X線装置や重イオンビーム(主にHeイオン)照射施設で照射を行い、塩基除去修復酵素(NthやFpg)処理を行い、鎖切断および塩基損傷の定量評価を行った。それによるとX線に比べて重イオンの方が修復酵素で認識しがたい損傷を多く生成していることが明らかになった。 次年度は軟X線照射したプラスミドDNAに対しての酵素処理実験を行い、鎖切断や塩基損傷の評価を行うことで、放射線の線質の違いによる損傷の違い、特に修復のしがたさに注目して解析する。さらに照射する軟X線のエネルギーを変化させることで、分子内の特定の内殻を選択的に励起できるため、励起サイトの違いによる損傷の化学構造の違いを定量評価する予定である。 本年度はいくつかのDNAユニット分子薄膜について軟X線照射実験を行い、それぞれの脱離イオンスペクトルを得た。また、照射試料のX線吸収端微細構造スペクトルを測定し、照射によって変化する化学構造変化の評価を行った。
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Research Products
(4 results)