2005 Fiscal Year Annual Research Report
砒素のファイトレメディエーション効果を促す有機ヒ素分解細菌の実用化
Project/Area Number |
17710061
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
牧 輝弥 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70345601)
|
Keywords | ヒ素 / 細菌 / 有機ヒ素 / 金属集積植物 / モエジマシダ / ファイトレメディエーション / 環境浄化 / 土壌汚染 |
Research Abstract |
金属を高レベルで吸収・蓄積する植物(金属集積植物)を用いて、ヒ素の汚染環境を浄化する技術(ファイトレメディエーション)の開発に取り組んだ。今年度は、有機金属の無機化細菌(分解細菌)が植物の有機ヒ素集積を促すことを、水耕栽培法を用いて実証した。化学物質による汚染事例のうち、国内でもっとも件数の多い物質はヒ素である。従って,ヒ素に関する成果が得られた意義は大きい。以下に成果を示す。【I 有機ヒ素分解細菌の探索】環境試料(湖沼,土壌)中において,好気条件より嫌気条件で細菌による有機ヒ素の無機化が進みやすいことを突き止め、有機ヒ素分解細菌を多数分離した(256株)。【II 金属集積植物体内の金属定量】植物体内の金属定量法を確立した。植物体を高温加熱によって完全に灰化する前処理法を用いて,植物体内の全金属量を精度良く定量できるようになり,ヒ素集積植物モエジマシダは無機ヒ素を約560mg/kgまで集積することを確認した。【III 金属集積植物の生理機能の解明】ヒ素化学種が植物のヒ素集積に及ぼす影響を明らかにした。モエジマシダは,無機ヒ素に較べ,メチルヒ素を1/20程度と少量しか集積せず,有機ヒ素を集積しにくい。【IV 細菌による植物のヒ素集積の促進】水耕栽培したモエジマシダに,有機ヒ素分解細菌株を接種した結果,植物のヒ素集積が約20倍に促進された。また、根圏を嫌気条件下で細菌とともに栽培したモエジマシダで,ヒ素集積の向上を実証した。今後、土壌栽培でヒ素の集積促進を確認し、実汚染サイトでのファイトレメディエーションの実施を見据えた研究を展開する。
|
Research Products
(5 results)