2005 Fiscal Year Annual Research Report
化学認識素子内包アドミセルを用いる水中汚染物質のフローテーション迅速一斉捕集
Project/Area Number |
17710062
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松宮 弘明 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10362287)
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Keywords | アドミセル / フローテーション / 重金属元素 / シリカゲル / 長鎖アルキルアンモニウム塩 / ポリオキシエチレン系界面活性剤 / w / oエマルション / 微量分析 |
Research Abstract |
本研究では,水中の汚染物質を捕捉するために化学的な分子・イオン認識作用を導入した化学認識素子内包アドミセルを設計し,凝集アドミセルを気泡へ吸着浮上させるフローテーション分離により,水中汚染物質の迅速かつ高効率な回収システムの構築を目指している.本年度は以下の事項について研究を進めた. まず,典型的なキレート試薬であるジチゾンを化学認識素子として長鎖アルキルアンモニウム塩のミセル水溶液に溶解し,シリカゲル粉末を加えてアドミセルを調製した.このアドミセルを試料水に投入し分散・懸濁させたところ,重金属元素(例えばCdやPbなど)を捕集することができた.更にこの懸濁液の下部から微細な気泡を導入したところ,アドミセルは凝集し,液面へと浮上・濃縮させることができた.このフローテーションに要する時間は十数秒間であり,汚染物質を捕捉したアドミセルの迅速・簡便な回収について目処がついた. また,合成樹脂Amberlite XAD-4にポリオキシエチレン系界面活性剤を吸着させたアドミセルを用いて鉄マトリックスを吸着除去する方法を開発した.更に,XAD-7を担体,フェノールの環状オリゴマーであるスルフィニルカリックス[4]アレーンを化学認識素子として利用し,NbとTaの相互分離が可能な分離媒体を開発した. 一方,固相担体の替わりに液相と界面活性剤を組み合わせたw/oエマルション法についても検討を行なった.内包させるキレート試薬の化学構造と金属元素の捕集効率の関係を系統的に調査し,水中重金属元素の存在形態別分析を多元素同時に行なうことが可能な分離濃縮法を開発することができた. 以上,本年度は基礎的な検討として,アドミセルやw/oエマルションへの水中金属元素の抽出挙動を検討した.その結果,本フローテーションシステムによる水中汚染物質の迅速一斉捕集の達成に向けて,有意義な知見を得ることができた.
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Research Products
(6 results)