2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化中空形成法に基づく重付加反応を利用した中空高分子微粒子創製法の開発
Project/Area Number |
17710076
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南 秀人 神戸大学, 工学部, 助教授 (20283872)
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Keywords | 自己組織化 / 中空構造 / 高分子微粒子 / カプセル / エポキシ樹脂 / イソシアナート / 相分離 / 界面 |
Research Abstract |
当研究室では懸濁滴内での重合ポリマー(ビニルポリマー)の相分離と界面への吸着を機構とした中空粒子合成法を提起し,自己組織化中空形成法(SaPSeP法)と呼称している。本研究は,このSaPSeP法を非ビニルモノマー(エポキシ樹脂やイソシアネートなど)の重付加反応系に適用することを目的としており,従来の反応機構とは異なる相分離を利用した自己組織化現象機構の詳細な解明も検討した。昨年度は,非ビニルモノマーであるエポキシ樹脂やイソシアネート系での重付加反応において従来のビニルモノマーの検討と同じように滴内に異種ポリマーを存在させることにより,相分離が早くなり,中空粒子が得られることを明らかにした。本年度は,中空化のために用いていたトルエンの代わりにジアミンを大過剰とした系において、未反応のジアミンを中空部分に含むような硬化剤内包型マイクロカプセルの合成を目指し,検討を行った。一般にエポキシ樹脂とジアミンとの重付加反応は,その当量比から大きく離れた比で重付加させても,重合度が大きくならず,架橋ポリマーを与えないことが知られているが,異種ポリマーを存在させた系のみカプセル粒子が観察され,SaPSeP法をジアミン過剰の重付加反応系に適用することにより,硬化剤を内包するマイクロカプセルを作製することに成功した。これは,SaPSeP法の生成機構から考察すると,重付加反応の進行に伴い,相分離したエポキシ樹脂が,粒子界面へ吸着する。その結果,懸濁滴内全体としてジアミン過剰系においても粒子界面付近において,エポキシ樹脂とジアミンの当量比が1対1に近づくことにより,架橋反応が進行し,シェル層が形成されると考えられ,これまで提起しているSaPSeP法のメカニズムを支持するものである。さらに,得られた硬化剤(ジアミン)内包型マイクロカプセルを未反応のエポキシ樹脂に分散させて,1液型エポキシ接着剤として応用できるかどうかの検討を行った。その結果,30℃で硬化させるとほとんど接着強度を示さないのに対して70℃にて硬化を行うと接着性を示したことより,高温硬化型の1液型エポキシ接着剤としての利用への可能性を示唆するものであった。学術論文は投稿準備中であるが,今年度は国際学会にて本研究成果の発表を行った。
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