2005 Fiscal Year Annual Research Report
金1原子層でシリサイド形成を抑えた鉄/シリコン界面の選択的電子状態の研究
Project/Area Number |
17710077
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 伸夫 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90302017)
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Keywords | 埋もれた界面 / 軟X線発光分光 / ナノスケール薄膜 |
Research Abstract |
平成17年度は、蒸着用チェンバーの整備とバルク試料の軟X線発光分光測定を平行して行った。前者については、既存チェンバーの改修を計画していたが、ターボ分子ポンプの故障などで整備計画が半年ほど遅れることが必至となった。次年度に対応する。後者については、HiSOR, SPring-8,KEK-PFの各放射光施設を用い、VUV励起および硬X線励起の光電子分光と軟X線発光分光により、価電子帯構造に関して一定の知見を得た。また、理論的な研究協力もあり、現在成果を投稿準備中である。 本研究の研究対象としているFe/Si薄膜およびFe/Au/Si薄膜作製に先立ち、予めSiと結合しているFe_xCo_<1-x>Si合金を用いてSi 2p発光分光測定を中心に価電子帯におけるSiの振る舞いを調べた。その結果、組成xを変化させFeSiからCoSiへと変化させ、系全体に置ける遷移金属の3d電子数を系統的に変化させると、それに比例してSi 3p電子状態が変化することが確かめられた。結晶の持つ対称性から結晶場分裂した遷移金属の3d(t_<2g>)軌道が選択的にSi 3pと軌道混成していると考察される。 以上の結果を踏まえ、最終年度となる来年度は蒸着試料を用いた測定を行う。まず、当該目標であるAuによるシリサイド形成の抑制効果を明らかにする。即ち、SiがFeのO_h対称場におかれるか、Td対称場に置かれるかで、シリサイドとしてFeとSiが軌道混成するかしないかが決まるのではないかと予測している。Auがどのような役割を果たすのかを明らかにした。
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